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フルスタックエンジニアの必要性と需要とは?仕事内容と求められる知識

この記事では、フルスタックエンジニアの仕事内容と必要性、フルスタックエンジニアになるために必要なことを解説します。

フルスタックエンジニアの必要性と需要とは?仕事内容と求められる知識

この記事では、フルスタックエンジニアの仕事内容と必要性、フルスタックエンジニアになるために必要なことを解説します。

キャリア

2022/05/23 UP

数あるITエンジニア職種のなかで、あらゆる業務をこなせる特別な職種がフルスタックエンジニアです。いわゆるオールラウンダーであるフルスタックエンジニアは、どのような仕事をしているのか気になるでしょう。IT業界は変化のスピードが速いことなど、フルスタックエンジニアの必要性、需要が高まっている状況です。

この記事では、フルスタックエンジニアの仕事内容と必要性、フルスタックエンジニアになるために必要なことを解説します。

フルスタックエンジニアとは

フルスタックエンジニアの概要、具体的な仕事内容について見ていきましょう。

フルスタックエンジニアの概要

フルスタックエンジニアとは、すべてのエンジニア業務を手がけられるエンジニアのことです。

通常のシステム開発は、工程ごとにエンジニアがおり、チームで活動することが一般的です。一方、フルスタックエンジニアは、システムやウェブの開発における、設計、開発、運用、メンテナンス、アップデートまで、全工程を担当できます。

フルスタックエンジニアは業務の分野を問わないため、マルチエンジニア、万能エンジニアと呼ばれることもあります。

フルスタックエンジニアの仕事内容

フルスタックエンジニアの仕事は、一人でシステム開発を行なう、またはチームに入ってスキルを提供します。ただし、一人で全行程の業務をする場合も、チームに所属する場合も、基本的な仕事の流れは変わりません。

フルスタックエンジニアがシステム開発する際、以下の流れで業務を行ないます。

1. 要件定義:問題点や改善点を考慮し、必要な機能や性能を洗い出す

2. 設計:要件定義をもとに、仕様書と設計書を作成する

3. 開発:設計書からプログラムや画面を作成し、プログラムの動作を単体テストで確認する

4. テスト:複数のプログラム間で連携がとれるか確認する結合テスト、要件定義や設計に合致しているか確認する総合テストを行なう

5. 運用:システムの稼働を監視し、異常の際は修正やプログラムのバージョンアップを行なう

また、全工程に携われるフルスタックエンジニアは、開発する種類も多岐にわたります。フルスタックエンジニアが携わる、代表的な開発の種類は次のとおりです。

・フロントエンド開発

フロントエンド開発とは、システムやウェブの画面など、ユーザーの目に見える部分を開発するものです。デザイナーが制作したUIデザインをもとに、文字入力や送信をコーディングします。フロントエンド開発ではHTML、CSS、JavaScriptなどのプログラミング言語を使用します。

また、フロントエンド開発はフレームワークやライブラリを用いることが多いため、プログラミング言語以外の技術も必要です。

なお、フロントエンドを主に担当するフロントエンドエンジニアについては、こちらの記事をご覧ください。
フロントエンドエンジニアとは?求められるスキルや仕事内容も紹介!

・バックエンド開発

バックエンドとは、サーバー側で動作する、ユーザーから見えない部分を開発するものです。ECサイトの発送や決済の処理、ログイン機能などに該当します。

バックエンド開発ではJavaPHPPythonRubyなど、フロントエンド開発と異なるプログラミング言語を使用します。また、サーバーやデータベースを構築することもあり、さらに幅広い知識が求められます。

本来フロントエンドとバックエンドは別々のエンジニアが担当し、相互で連携しながら仕事を進めます。フルスタックエンジニアは一人で両方の開発が可能なため、一括で開発できることが大きな強みです。

なお、バックエンドを主に担当する、バックエンドエンジニアについては、こちらをご覧ください。
バックエンドエンジニアとは?必要なスキルや、なるためのポイントを紹介

・アプリケーション開発

アプリケーション開発では、タブレットやスマホなどのモバイルアプリケーションを開発します。ウェブと異なり、モバイルは物理的な画面の大きさ、メモリの量、ストレージの容量も考慮しなければなりません。

モバイルアプリケーション開発では、iOSはSwift、AndroidではKotlinを用います。近年は、両OSに対応できる、ReactNativeなどのフレームワークの需要も高くなっています。

ウェブアプリケーションではJavaScript、Python、PHPなどを用いることが一般的です。フルスタックエンジニアはウェブ、モバイルと両方の技術を有するため、連動性の高い開発が可能になります。

・インフラ開発

オールラウンダーのフルスタックエンジニアは、サーバーやネットワークなどのインフラ開発にも携わります。

サーバー設計や運用、ネットワーク構築、障害の復旧など、専門的に携わるのがインフラエンジニアです。しかし、サイトやシステムがダウンした場合、インフラエンジニアの担当者に復旧を依頼しなければなりません。担当者が到着するまで待つこともあり、その間の作業がストップしてしまいます。

一方、フルスタックエンジニアは、開発中の障害にも迅速に対応できます。インフラエンジニアに頼る必要がなく、開発業務が滞ることもありません。

なお、自らがサーバーやデータベースなどを開発する必要がない、クラウドサービスの導入が加速しています。クラウドサービスは数多く存在するため、フルスタックエンジニアは適切なサービスを選定する知識も必要です。

インフラを主に担当するインフラエンジニアについては、こちらをご覧ください。
インフラエンジニアとは?仕事内容から取得するべき資格までわかりやすく紹介!

フルスタックエンジニアの必要性と需要が高い理由

フルスタックエンジニアの必要性と需要が高い理由

日本におけるシステム開発は、専門分野に特化したエンジニアを集めて開発することが一般的でした。そのなかで、オールラウンダーのフルスタックエンジニアは「必要ない」とされたこともあります。

しかし、IT業界を取り巻く情勢は変化しており、フルスタックエンジニアの必要性、需要が高まっています。フルスタックエンジニアの必要性、需要が高い理由は、以下のことが挙げられます。

開発スピードの高速化

フルスタックエンジニアはすべての工程を一人で担当できるため、開発スピードの向上につながります。特に、スピードが求められるアジャイル開発を取り入れている場合、マルチに活躍できるフルスタックエンジニアの需要は高くなっています。

フルスタックエンジニアの需要が特に高いのは、ベンチャー企業やスタートアップ企業です。大企業と異なり人件費が限られているため、単独で開発が可能なフルスタックエンジニアは貴重な存在です。

求められる役割の多様化

従来はシステム開発に重きを置いていましたが、近年は運用保守、メンテナンスの役割も求められています。フルスタックエンジニアは、システムの企画段階から開発、運用保守までこなせるため、需要が非常に高くなっています。

SIerの変化

近年はクラウドサービスの普及に加え、海外に開発を委託するオフショアが伸びている状況です。クラウドの普及でSIer(システムインテグレーター)の立ち位置に変化が起き、SaaSによるカスタマイズが中心になっています。

しかし、オフショアには任せられない難易度の高い案件は、高いレベルの知識をもつフルスタックエンジニアの存在が不可欠です。オフショアに仕事が流れている状況で、特定のスキルしかもたないエンジニアと差別化できるのはフルスタックエンジニアの魅力でしょう。

エンジニア技術のコモディティ化

インターネットの発展、フレームワークやライブラリが整備されたことにより、プログラミングの開発スキルを習得しやすい状況です。ウェブ開発のハードルが下がり、開発に必要な技術におけるコモディティ化が進んでいます。

その反面、アーキテクチャの高度化により、プロダクトに使う技術は複雑化しています。エンジニアの差別化が進んでいるため、高度な開発を一人でできるフルスタックエンジニアは今後も必要とされる要因です。

フルスタックエンジニアになるには?

フルスタックエンジニアになるには?

フルスタックエンジニアになるために、求められる知識やスキルを解説します。

複数の専門分野をもつ

フルスタックエンジニアになるには、プログラミングやネットワークなど、幅広い知識が必要です。各開発で必要なプログラミング言語を習得するだけでなく、OSやミドルウェア、クラウドサービスの知識も不可欠です。

フルスタックエンジニアは複数の専門分野をもつだけでなく、さらに市場で需要が高い知識を選ぶ必要があります。最初から複数の知識を身につけようとするよりも、徐々に分野の幅を広げるとよいでしょう。膨大な知識を吸収するには、勉強を継続すること、1つの専門分野を固めてから次に移ることが大切です。

また、次々に登場するIT技術を吸収し、業界全体を俯瞰してアンテナを張ることも大切です。フルスタックエンジニアは全工程に携われる反面、中途半端と思われがちです。専門分野を軸として、関連する知識を習得することで、新のオールラウンダーを目指しましょう。

上流工程の経験を積む

フルスタックエンジニアとして活躍するには、システムの企画、要求仕様、基本設計など、上流工程の経験も積む必要があります。

上流工程の知識やスキルをいち早く身につけるには、ベンチャー企業やスタートアップ企業で働くことをおすすめします。もともとエンジニアの数が少なく、一人で開発しなければならない環境であるためです。仕事に慣れれば一人で全行程の開発に携われるため、フルスタックエンジニアになる知識が効率よく得られます。

なお、フルスタックエンジニアになるために、資格を取得し、スキルを証明することも有効です。フルスタックエンジニアに役立つ資格は、PMP、ITストラテジスト、CCNP、AWS認定資格、Google Cloud認定試験、Oracle Masterなどが挙げられます。

実際のところ、フルスタックエンジニアの評価は、資格よりも実務が優先されます。しかし、資格取得で知識を得られるメリットがあるため、勉強する価値はあるでしょう。

フルスタックエンジニアは幅広い知識をもつプロフェッショナル

フルスタックエンジニアとは、システム開発、ウェブ開発の設計や開発、運用、メンテナンスなど、全工程を一人で担当できる職種です。フルスタックエンジニアは、フロントエンド開発、バックエンド開発、アプリケーション開発、インフラ開発など、多種多様な開発に携われます。近年は、開発スピードの高速化、クラウドとオフショアの普及など、フルスタックエンジニアの需要は高まっている状況です。

フルスタックエンジニアになる方法は、複数の専門分野をもち、上流工程に触れる仕事に携わることです。ただし、新しいトレンドや技術が登場するため、常に勉強し続ける努力も必要です。オフショアが普及するなか、市場価値が高いエンジニアになるため、フルスタックエンジニアを目指すことをおすすめします。