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ITストラテジストは役立つすごい資格!その理由や取得すべき人について

ITストラテジスト試験について深堀りし、すごいといわれる理由や取得するメリット、取得するべき人とそうでない人について解説します。

ITストラテジストは役立つすごい資格!その理由や取得すべき人について

ITストラテジスト試験について深堀りし、すごいといわれる理由や取得するメリット、取得するべき人とそうでない人について解説します。

知識・情報

2023/02/22 UP

IT技術者なら一度は受験の経験がある情報処理推進機構(IPA)の情報処理技術者試験。そのなかでも保持しているとすごいとされる資格の一つが “ITストラテジスト” です。しかし、実際にITストラテジストの何がすごいのか気になる方は多いのではないでしょうか。

この記事では、ITストラテジスト試験について深堀りし、すごいといわれる理由や取得するメリット、取得するべき人とそうでない人について解説します。

すごい!といわれるITストラテジスト

ITストラテジストは企業のトップマネジメントともに事業戦略や事業計画の段階から参画するエンジニア系上級職の一つであり、ITストラテジスト試験はIPAが主催する情報処理技術者試験の一つです。

ITストラテジスト試験は2009年から始まった国家資格であり、情報技術を活用して企業の経営戦略に基づき、基本戦略を策定・提案・推進するものを認定する資格です。

ITストラテジスト試験は令和元年度までは年に1回10月に実施されていましたが、以降は年に1回4月に実施されています。ビジネスを成功に導くCIOやCTO、ITコンサルタントを目指す方向けの資格です。

IT系の国家試験の最高峰ともいわれる資格であり、技術面だけでなくビジネス・経営に関する知識・スキルも求められる資格となっています。

ITストラテジスト資格取得者がすごいといわれる理由

ITストラテジスト資格取得者がすごいといわれる理由

ITストラテジスト資格を持っていると周りから一目置かれる存在になりますが、そのすごさの理由は大きく2つ挙げられます。

高難易度の資格であり合格が難しい

ITストラテジストは難易度が高く、合格が難しい資格です。近年のITストラテジストの合格率は15%前後で推移していますが、同じIPAの資格である“基本情報技術者試験”の合格率が20〜30%程度、2020年度は48.1%だったことを考えると、その難易度の高さがわかります。

また、2009年以前のITストラテジストは上級システムアドミニストレータという資格でしたが、その際の合格率は10%を下回るほどであり、資格取得者が少ないこともすごいといわれる理由の一つとなっています。

なお、ITストラテジストは士業の試験と同程度の難易度として格付けされることが多い資格です。ITストラテジスト試験は司法書士試験や税理士試験と同程度か少し易しいくらいとして位置づけられています。

士業に並ぶ専門職認定

ITストラテジストの資格取得者は、厚生労働省が認める専門職として認定されます。これは労働基準法第十四条第一項第一号の規定に定められた以下の資格を有する士業と同等の専門職です。

・公認会計士

・医師

・歯科医師

・獣医師

・弁護士

・一級建築士

・税理士

・薬剤師

・社会保険労務士

・不動産鑑定士

・技術士

・弁理士

誰もが知る士業に並ぶほどの専門職として認定されることも、ITストラテジストがすごいといわれる理由です。

ITストラテジストを取得するメリット

ITストラテジストを取得するメリット

そんなすごい資格であるITストラテジストを取得するメリットとしては、大きく次の3つが挙げられます。

昇進、転職に有利

ITに関連する知識やスキルは証明することが難しいもの。経験や実績に基づいて知識やスキルを証明することはできますが、誰もがひと目でわかる形で証明するためには資格の取得が最適です。

ITストラテジストはここまでに紹介したとおり、非常に高難易度で士業に並ぶ専門職として認定される資格であるため、客観的に高度な知識・スキルを有していることの証明になります。

このことは、昇進や転職などの際に有利に働くことになるので、ITストラテジストを取得するメリットの一つともいえます。

仕事の幅が広がる

ITストラテジスト資格を保有していると、ITに関する高い知識があることの証明になります。名刺などにも資格取得者として記載でき、コンサルティングなどの仕事も可能になるでしょう。

実際にITストラテジストを取得すると、自身の知識・スキルに自信が持てるようになり、仕事の幅が広がったという声もあります。ITストラテジスト資格の取得をきっかけにコンサルティング部門に異動してさまざまな業務に携わるなど、仕事の幅が広がっているのです。

もちろん、資格を持っているからといって実務ができるわけではありませんが、基礎知識があるという自信が、新しい領域へチャレンジする際、背中を押してくる側面も見逃せません。

日本ITストラテジスト協会に入会できる

ITストラテジスト資格を取得すると、日本ITストラテジスト協会(JISTA)に正会員として入会できます。JISTAは情報化戦略・情報化計画などについての情報交換や相互研鑽によって実務能力の向上と人脈形成を図ることなどを目的とした団体です。もともとは情報処理技術者試験であるシステムアナリスト試験の合格者を中心としたメーリングリストでしたが、それが発展して今の形となりました。

実際にITストラテジスト資格を取得し、JISTAに入会した人の話ではJISTAを“社外の人脈形成の場”として活用しており、スペシャリストの仲間同士での議論や知的交流の場として活用しているとのこと。

JISTAに入会してさまざまな企業の優秀なコンサルタントやエンジニアと交流できることは、ITストラテジスト資格を取得するメリットの一つとなっています。

ITストラテジストを取得するべき人、そうでない人

ITストラテジストを取得するべき人、そうでない人

ITストラテジストはすごい資格ですが、万人が取得するべき資格とは言い切れません。ITストラテジストは企業の経営戦略に基づき基本戦略を策定・提案・推進する者です。

そのため、システムを企画する業務に携わる人にとっては大いに取得する価値があります。反対に、企画されたシステムを実装する立場のエンジニアにとってはあまり活用する機会は多くないといるでしょう。

企業の経営に関わる立場や、ITコンサルタントなどであればITストラテジストを取得するべき人といますが、一般のエンジニアやSIerは取得しても活用の機会はあまり多くないでしょう。

しかし、将来的にコンサルタントなどとして経営戦略に基づいたシステム企画を行いたい、と考えている方にとっては大いに価値のある資格です。あくまでも、取得するべき人・そうでない人を分けるポイントは、現時点での活用機会の有無であるため、将来目標とする職種などによってはITストラテジスト資格の取得を目指してもよいでしょう。

ITストラテジスト試験の概要

ITストラテジスト試験は、午前はマークシート試験、午後は記述や論述形式で行なわれます。それぞれどのような試験なのか見ていきましょう。

午前Ⅰ試験

50分間の試験で、マークシート方式の四肢択一形式で実施されます。出題数と回答数はそれぞれ30問で、満点の60%が基準点となります。問題の難易度はスキルレベル3相当で、ITに関する幅広い分野から出題されます。

午前Ⅱ試験

40分間の試験で、マークシート方式の四肢択一形式で実施されます。出題数と回答数はそれぞれ25問で、満点の60%が基準点となります。

午後Ⅱ試験は、ストラテジ分野全般から出題されます。経営戦略マネジメントの出題比率が高い傾向にあり、ITストラテジストに求められる知識を広く問われます。

午後Ⅰ試験

90分間の記述式の試験で、4つの大問のうち2問を選択します。大問1つにつき、3~4つの設問が用意されており、説明文を読んで各問いに回答していきます。100点満点の試験で、60点が合格基準点です。

午後Ⅰ試験は、大問ごとの説明文が非常に長いという特徴があります。説明文の内容を正確に把握するのに時間がかかり、文章を読み込むうちに時間切れにならないよう、ペース配分に注意しましょう。

対策としておすすめの方法は、先に設問に目を通すことです。設問を読み「何が問われている問題なのか」を把握できれば、説明文の内容も理解しやすくなるでしょう。

午後Ⅱ試験

120分間の論述式の試験で、3つの大問のうち1問を選択します。大問1つにつき、3つの設問が与えられるので、自身の実務経験をもとに小論文形式で回答していきます。

午後Ⅱ試験は文字数の指定があります。文字数は設問ごとに異なり、設問アは800字以内、設問イは800字以上1600字以内、設問ウは600字以上1200字以内での論述が求められます。

午後Ⅱ試験は、スキルレベル4相当の高難易度試験です。回答内容はA~Dの4ランクで評価され、Aの「合格水準にある」のみが合格判定となります。

手書きで数千文字の論述をしなくてはならないため、書き直す時間を確保するのは難しいでしょう。事前学習では、参考書で知識を深化させることに加え、過去問で時間内に論述する訓練をしておくことも重要です。

ITストラテジスト試験の勉強法について詳しく知りたい方は『ITストラテジストとは?仕事内容・必要スキルや資格試験対策を徹底解説』もご覧ください。

ITストラテジストは取得する価値のあるすごい資格

ITストラテジスト資格はIPAが主催する情報処理技術者試験の一つです。非常に難易度が高く、その取得の難しさと士業に並ぶ専門職として認定される点からすごいとされる資格です。

ITストラテジストを取得することは、昇進・転職が有利になる、仕事の幅が広がる、JISTAに入会でき、人脈形成の場として活用できるといったメリットが挙げられます。しかし、場合によっては取得しても活用できない可能性も考えられるため注意が必要です。

それでも、ITストラテジスト資格がすごいことに変わりはないため、自身の将来像を考え、取得する価値があると判断できる場合には、取得に向けて学習を進めてみてはいかがでしょうか。