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新しくなった基本情報技術者試験とは?合格を目指すメリットや勉強法も紹介

本記事では、基本情報技術者試験の何が新しくなったのかを整理したうえで、これから受験するメリットやおすすめの勉強法について紹介します。

新しくなった基本情報技術者試験とは?合格を目指すメリットや勉強法も紹介

本記事では、基本情報技術者試験の何が新しくなったのかを整理したうえで、これから受験するメリットやおすすめの勉強法について紹介します。

スキルアップ

2022/09/30 UP

「基本情報技術者試験」は、IPA(情報処理推進機構)が実施する国家試験「情報処理技術者試験」の一つです。「ITエンジニアの登竜門」と呼ばれており、ITにたずさわる多くの人が受験しています。

その内容が、今後大きく変わることをご存知でしょうか。2023年4月以降の試験について、実施方式や出題範囲の変更が発表されたのです。そこで本記事では、基本情報技術者試験の何が新しくなったのかを整理したうえで、これから受験するメリットやおすすめの勉強法について紹介します。

基本情報技術者試験は何が変わった?

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まずは、新しくなった基本情報技術者試験の変更点について説明します。

年2回実施から通年試験へ

基本情報技術者試験は、これまで年2回のみ実施されていました。従来はペーパー方式を基本としていましたが、2020年12月からはコンピュータ上で問題を解くCBT(Computer Based Testing)方式も導入されています。これは新型コロナウイルスの感染拡大を背景とするもので、「上期」と「下期」の一定期間に限り受験可能でした。

新しくなった2023年4月以降の試験では、コンピュータを用いる方式によって、希望の日時を選んで随時受験できるようになります。これにより、日程の都合で受験を諦めなければならないことが減るでしょう。また、1年の間に受験可能な回数が増えるため、再挑戦もしやすくなるといえます。

試験時間と出題数を変更

従来の基本情報技術者試験は、「午前試験」と「午後試験」に分かれていました。これが、「科目A試験」と「科目B試験」という名前に変わります。また、それぞれ150分だった試験時間が短くなり、出題数も以下のように変更されました。

・科目A試験:90分/60問

・科目B試験:100分/20問

これまで「午後試験」にあった選択問題は廃止となり、大問による出題は小問に統一されます。これにより、「科目A試験」、「科目B試験」ともにすべての問題が解答必須へと変更されました。

擬似言語による出題に統一

従来の「午後試験」には、個別のプログラミング言語による出題がありました。具体的な言語の種類は、以下のとおりです。

・C言語

・Java

・Python

・アセンブラ言語

・表計算ソフト

これらは「科目B試験」から廃止となり、擬似言語による出題に統一されます。これは、プログラミング言語の知識よりも、普遍的・本質的な思考力が問われる試験に変わるということです。

個別のプログラミング言語による受験を考えていた人には、追加の試験対策がある程度必要になるでしょう。

採点をIRT方式に変更

新しい基本情報技術者試験では、合格に必要な基準点も変更となっています。従来の「午前試験」と「午後試験」では、どちらも100点満点中60点以上をとる必要がありました。これが「科目A試験」と「科目B試験」で、1,000点満点中600点以上に変わります。

どちらも「6割以上」という同じ条件のように見えますが、併せてIRT(Item Response Theory)方式が導入される点に留意しましょう。これは基本情報技術者試験と同じくIPAが実施する「ITパスポート試験」にも採用されている方式で、難易度(どの程度の人が正答できたか)によって問題ごとの配点が調整されるというものです。そのため、実際に合格できたかどうかは結果が出るまでわかりません。

一方、異なる試験問題で受験した場合でも、IRTにより公平な採点が可能になります。受験時期による出題内容の違いによって、有利・不利が生じにくくなると期待できるでしょう。

午前試験免除制度は継続

「午前試験免除制度」とは、所定の講座を受講し修了試験に合格すると、「午前試験」が1年間免除される制度のことです。IPAの認定を受けたスクールの学習コースなどが対象となります。

この制度については今後も「科目A試験免除制度」として継続されることとなっており、大きな変更はありません。既存の講座で修了試験を受けて合格した場合も、免除期間は引き続き有効となります。

レベルと受験資格は変更なし

情報処理技術者試験には、求められる知識・技能の幅や深さによって4段階の「レベル」が設定されています。基本情報技術者試験は下から2番目の「レベル2」に相当しますが、この点は新しくなったあとの試験でも変更ありません。

また、受験に際して特別な資格が必要ない(=誰でも挑戦できる)点についても、これまでどおりです。

基本情報技術者試験の出題範囲

新しくなった基本情報技術者試験における、「科目A試験」と「科目B試験」それぞれの出題範囲について説明します。

科目A試験の出題範囲

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「科目A試験」では、これまでの「午前試験」に準じる以下の3つの分野から出題されます。

・テクノロジ系:コンピュータの基礎理論のほか、データベースやセキュリティ、システム開発技術など

・マネジメント系:プロジェクトマネジメントやシステム監査など

・ストラテジ系:経営戦略や法務など

従来の「午前試験」と変わらず、開発に直結する技術以外にも幅広い知識を問われることがわかるでしょう。基本情報技術者試験に設定されたレベルに従い、それぞれの分野で「レベル2」相当の理解が求められます。

なお、「テクノロジ系」に含まれる「セキュリティ」は、従来から重点分野に指定されていました。「科目A試験」に変わっても、この点も変更はありません。

科目B試験の出題範囲

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「科目B試験」は、以下の2つの分野を中心とした構成に変更となります。

・情報セキュリティ:マルウェアからの保護、利用者アクセスの管理、運用状況の点検、情報セキュリティ要求事項の提示など

・データ構造及びアルゴリズム:スタック、キュー、木構造、整列、文字列処理、実装するプログラムの要求仕様の把握など

これらは、「午後試験」で解答必須とされていた部分にあたります。従来から重要とされてきた分野のみに、出題範囲が絞られるということです。

この変更により、以下については「科目B試験」の出題範囲から外れます。とはいえ「科目A試験」で求められる知識の一部ではあるため、基本情報技術者試験の対象外になるというわけではありません。

・コンピュータシステム

・ソフトウェア設計

・マネジメント

・ストラテジ

基本情報技術者試験を受験するメリット

基本情報技術者試験を受験するメリット

実施方式や出題範囲が新しくなっても、基本情報技術者試験から得られるメリットが小さくなることはないでしょう。合格を目指すことで期待できる効果について説明します。

エンジニアとしてスキルアップできる

基本情報技術者試験は、ITシステムやソフトウェアを作る人に求められる知識・技能を幅広くカバーする認定試験です。合格に向けて勉強すること自体が、エンジニアとしてのスキルアップにつながるでしょう。

また、IPAはより上位レベルの試験も実施しています。まずは基本情報技術者試験に向けて勉強し、合格できたら次は応用情報技術者試験を目指すというように、順序良くステップアップしていくのもおすすめです。

応用情報技術者試験の難易度やメリットについては下記の記事で詳しく説明しているので、併せて参考にしてください。
応用情報技術者試験とはどのような試験?難易度や資格を取るメリットも説明

合格すれば就職・転職に有利になる

基本情報技術者試験をはじめとする情報処理技術者試験は、国家試験に位置付けられています。合格すれば、試験ごとに設定されたレベルの知識・技能があると認定されるということです。

企業から見れば、試験への合格は一定水準以上の能力をもつ人材かどうかを判断するための客観的な指標となります。基本情報技術者試験の合格者であることを履歴書などに書いて自身の能力をアピールすれば、就職・転職を有利に進めやすくなるでしょう。

なお、就職や転職の際にメリットを発揮する資格・試験は、基本情報技術者試験のほかにも多数あります。下記の記事ではエンジニアにおすすめの資格・試験をピックアップしているので、ぜひ参考にしてください。
システムエンジニアにおすすめの資格8選

基本情報技術者試験の勉強法

基本情報技術者試験への合格を目指す人におすすめの、独学でもできる勉強の進め方について紹介します。

独学で合格を目指す場合のポイント

独学で合格を目指す場合のポイント クリックして拡大

一般的な試験対策では、出題範囲の勉強を試験当日までに終えられるよう計画をたてることが必要です。そのためには、各種スクールの学習コースを活用する方法も考えられます。特定の受験日をターゲットにしたコースを選べば、本番に間に合うペースで勉強を進めやすいでしょう。

しかし、基本情報技術者試験については、今後は希望の日時を選んで受験できるようになりました。自分のペースで、着実に勉強を進められるようになったということです。そのため、独学でも比較的合格を目指しやすい試験だといえます。

とはいえ試験対策の勉強は、できる限り効率良く進めたいところでしょう。効率的に成果を出すには、「インプット」と「アウトプット」を繰り返す勉強法がおすすめです。

インプット:出題範囲の知識を身につける

基本情報技術者試験の対策には、出題範囲の広さから200時間以上の勉強が必要だと言われることもあります。そこで大切になるのが、テキストや参考書を読んで情報を頭に入れる、インプットのしかたです。

実際に必要となる勉強時間は、ITに関する知識や経験がどの程度あるかによって大きく変わってきます。例えば、エンジニアとして実務経験があるため技術面の不安は少ないものの、プロジェクトマネジメントや経営戦略などについては時間をかけて知識を補強したいという人もいるでしょう。

そのため、インプットを進める際には費やした時間を目安にするよりも、出題範囲をいかにカバーするかが重要になってきます。出題範囲を網羅した参考書や学習サイト、試験対策アプリなどを活用して、苦手分野をなくしていくようにしましょう。

アウトプット:問題を解く練習をする

アウトプットとは、手を動かして頭に入れた情報を外に出すことです。基本情報技術者試験の勉強では、試験対策の問題集を解いてみることなどがアウトプットにあたります。インプットとアウトプットを交互に繰り返せば、知識が定着しやすくなるとともに、弱点を発見・克服しながら勉強を進められるようになるでしょう。

また、試験本番の限られた時間内で問題を解けるようになるためにも、ある程度の練習は必要です。そこで、時間を計りながら本番さながらに過去問題を解いてみる方法が考えられます。しかし、基本情報技術者試験の過去問題は、2020年以降公開されていません。各種スクールの模擬試験などを活用して、合格できるだけの実力がついたかどうか確認してみるのも一つの方法です。

新しくなった基本情報技術者試験を活用してスキルアップを目指そう

基本情報技術者試験が、2023年4月から新しくなります。実施方式や出題範囲が変更となりますが、受験するメリットのある試験であることは今後も変わりがありません。就職や転職の際の自己アピールに役立つほか、エンジニアとしてのスキルアップにもつながるでしょう。

業務のために基本情報技術者試験を受ける人には、合格すると受験料が還付される「資格取得支援制度」もあります。有利な制度をぜひ活用しながら、合格を目指して勉強をはじめてみてはいかがでしょうか。