ジェネレーティブAIとは?AIが生み出す新たな設計手法を紹介

ジェネレーティブAIとは?AIが生み出す新たな設計手法を紹介

本記事では、ジェネレーティブAIとはどのような技術か、製品開発にどう影響するのか解説します。

IT系調査会社であるガートナー社の発表により、ジェネレーティブAIという言葉が注目されるようになりました。今後市場に生産性革命をもたらすと予想されており、製品開発にも導入され始めています。

本記事では、ジェネレーティブAIとはどのような技術か、製品開発にどう影響するのか解説します。

ジェネレーティブAIとは

ジェネレーティブAIは、2022年時点での最新トレンドとして発表されたキーワードであるため、馴染みがない方も多いでしょう。はじめにジェネレーティブAIの概要と、なぜ注目されているのかについて説明します。

ジェネレーティブAIは機械学習の手法のひとつ

米国のIT系調査会社であるガートナー社は、企業や組織に重要なインパクトを持つ「戦略的テクノロジのトップ・トレンド」の2022年版を発表しました。全部で12のトレンドのうちの一つに、ジェネレーティブAIが含まれています。ビジネスの成長を加速させることが期待される技術として選出されました。

ジェネレーティブAIとは、コンテンツやモノについてデータから学習し、既存品とは異なる新しいアウトプットを生み出す機械学習の手法のことです。特に、製品設計に特化したものをジェネレーティブデザインと呼ばれています。設計者が製品や部品のパラメータの要件を決め、AIは要件をもとに検証した多数の設計結果を提供します。

ガートナー社の見解

2022年に向けたキーワードとしてジェネレーティブAIが選出されましたが、この技術は今後6~8年のうちに市場に生産性革命をもたらす可能性があると期待されています。ジェネレーティブAIの手法の探求が進んでおり、ヘルスケアや製造、メディア、自動車など幅広い産業ですでに実証されています。

市場へのインパクトも大きいと想定されており、2025年までに生成される全データのうち、ジェネレーティブAIが生み出すデータは現在の1%未満から10%になるとの予測も発表されました。ただし、ディープフェイクなど安全面での懸念もあるため、一部の業界で導入が遅れる可能性も指摘されています。

ジェネレーティブAIによる製品開発への影響

ジェネレーティブAIによる製品開発への影響

ジェネレーティブAIを用いることで、製品開発の効率アップにつながると考えられています。具体的にどのような影響があるのか説明します。

条件に合う無数のバリエーションを検討できる

ジェネレーティブAIで製品開発を行なうには、まず設計者が材料や重量、コスト、性能などの制約条件を指定します。AIは設計条件の範囲内で実現可能な設計案を複数作り出します。案のなかから設計者は最適なものを採用できますし、満足できなければ制約条件を再度見直してAIに再検討させることも可能です。

従来の設計手法では、あらゆる制約条件を成立させる設計案を設計者自身で模索する必要がありました。人間が複数案を検討するには限度があり、それぞれの案がすべての条件を満たしているか検証するには工数も多くかかります。ジェネレーティブAIを活用すれば、実現可能な設計案を短時間で多く導き出すことができます。

革新的なデザイン案が出せる

視覚的なデザインを検討する場合、デザイナーの設計案は個人の知識や経験に基づく先入観から生み出される可能性があります。過去の設計物を参考にすれば良質な検討案を導きやすいですが、一方で革新的なアイデアは生まれにくいでしょう。

ジェネレーティブAIの場合は、設定された制約条件が許す範囲内であらゆる可能性を模索します。導き出された数多くの設計案のなかには、過去の製作物とはまったく異なる革新的なデザイン案が登場する可能性があります。人の先入観にとらわれることなく、多くの設計案を検討できることはAIを用いるメリットです。

設計工数やコストの削減になる

制約条件がすべて成り立つ設計を行なうことは、非常に手間のかかる作業です。例えば、材料の条件変更があった場合は製品の強度やコストにも影響します。過去の設計案では製品仕様を満たせず、全体を一から考え直す必要が生じる場合もあるでしょう。

ジェネレーティブAIを用いれば、条件変更があっても迅速に代替案を提示できるため、設計変更の工数が削減できます。製品形状の小型化は数mm単位でもコスト削減になるため、気軽に代替案を検討できることは大きなメリットとなるでしょう。ジェネレーティブデザインを採用することで、最大40%もの材料削減が可能になるという研究結果もあります。

ジェネレーティブAIの危険性

ジェネレーティブAIは便利な面だけでなく、人々に危険をもたらす可能性があります。想定されているリスクについて解説します。

悪用されるリスクがある

ガートナー社は、ジェネレーティブAIが今後のあらゆる業界で活用され、ビジネスの成長を加速すると予測しました。一方で、詐欺や不正、政治的な偽情報の発信、なりすましなどに悪用されるリスクについても言及しています。

特に、人の顔を交換して偽動画を作るディープフェイクへの悪用が懸念されています。その人が実際には行なっていない動作や発言をしているように演出することが可能であるため、影響力の高い人物の発言が捏造されると大問題になる可能性もあるでしょう。ディープフェイクの技術は年々高度化しており、人間では判別が困難なレベルにまで到達しつつあります。

利用する人の倫理観の向上が必要

不正を防止したり、悪用された問題を検知したりするためにジェネレーティブAIの技術を用いる例もあります。ジェネレーティブAIを用いると、既存のデータから特徴を学習して実在しないデータの生成/変換が可能です。そこでイギリスの金融機関では、実際の決済データからサンプルの決済データを大量に生成することで、不正な決済を検知するAIの開発を進めています。

AIの開発においては、AIが持つ潜在的リスクへの対策を行ない、信用を高めなければなりません。それでも結局のところ、ジェネレーティブAIを適切に活用するかどうかは、利用する人の倫理観に依ります。社会がAIのメリットを享受できるようになるには、倫理観の向上が欠かせないでしょう。

ジェネレーティブAIの活用事例

ジェネレーティブAIの活用事例

ジェネレーティブAIはすでにさまざまな業界で活用されています。実際に活用した事例を3つ紹介します。

某住宅メーカーが建物のレイアウト検討に活用

某住宅メーカーではジェネレーティブAIを活用し、土地オーナーが保有する敷地内における建物のレイアウト検討を行ないました。

まずは建物を利用する人の使い方や嗜好、外光や眺望などのパラメータを設定します。それをもとに何千もの検討案を導き出せるため、パフォーマンスの高い斬新な案も得られるようになりました。

従来は、土地オーナーへの提案内容は担当のスキルや個性に頼ることが多いのが問題でした。しかしAIに置き換わることで、設計の手間が省け、具体的な設計案をもとに顧客に説明できるというメリットが生まれています。

某自動車部品メーカーが製品設計に活用

某自動車部品メーカーでは、エンジンの燃料噴射を制御するECU(Engine Control Unit)の開発にジェネレーティブAIを活用しました。ECUの軽量化と放熱性能を両立させることが困難であるという課題に対し、AIを用いた設計でどちらも両立させるモデルを作り上げています。

設計時にはAIに設計要件を与え、膨大な数のデザインを生成してトライ&エラーを繰り返します。AIが導き出した設計結果をもとに、従来の方法で製造できるよう形状の調整も行ない、製造コストを抑えました。完成品は全体で12%の軽量化を達成しつつ、従来と同等の放熱性能を維持できるものとなりました。

某IT企業が医薬品開発のリードタイム短縮を実現

某IT企業では、ジェネレーティブAIの活用で医薬品開発のリードタイムを短縮し、開発費用を削減しました。医薬品の候補となる化合物の最適化には、実験を繰り返しながら分子構造を変化させ、安全性や毒性などのパラメータを最適化する必要があります。その後に臨床試験や承認申請などにかかる時間も含めると、医薬品が市販化されるまでには10年以上の年月がかかります。

AIを用いると研究段階でさまざまなパラメータを検討できるようになり、臨床試験時における失敗のリスクを低減できるようになりました。またリードタイムを最適化することで6~10億円の費用削減が見込まれています。研究にかかる期間が数年単位で圧縮できるため、空いたリソースを他の業務に活用することにもつながっています。

ジェネレーティブAIで生産性革命がもたらされる

ジェネレーティブAIとは、定められたパラメータの制約条件のなかでAIが検証を行ない、設計結果を提供するものです。2022年時点では、今後6~8年のうちに市場に生産性革命をもたらすと予測されています。

AIを活用することで、無数のバリエーションの設計案を検討できる、これまでにない革新的な設計案を導ける、開発工数を削減できるなどのメリットがあります。すでにさまざまな産業で効果が実証されており、今後は業界を問わず多くの分野に広がっていくでしょう。

掲載日:2022/08/01

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