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シンギュラリティとは?起こる時期や社会への影響について

この記事では、AI技術の進歩にともない注目されているシンギュラリティの概要や、社会に与える影響について解説します。

シンギュラリティとは?起こる時期や社会への影響について

この記事では、AI技術の進歩にともない注目されているシンギュラリティの概要や、社会に与える影響について解説します。

知識・情報

2023/02/03 UP

新聞やニュースで「シンギュラリティ」という言葉を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

シンギュラリティとは、AI技術の進歩が社会に大きな影響を与える可能性のある転換点という意味で使用されています。

近年、AI技術の進歩は目覚ましく、社会のなかのさまざまなものにAI技術が使われるようになりました。AI技術は年々進化を遂げており、「AIが人間の知能を凌駕する時代が来るのではないか」という話題も度々耳にします。

この記事では、AI技術の進歩にともない注目されているシンギュラリティの概要や、社会に与える影響について解説します。シンギュラリティが起こる時期や、「そもそもシンギュラリティは実現しない」といった意見についても触れていくので、ぜひ最後までご覧ください。

シンギュラリティとは?

シンギュラリティ(Singularity)とは、日本語で「技術的特異点」の意味で使われている言葉です。AI(人工知能)が人間の能力を超える転換点や、それによりもたらされる世界の大きな変化といった概念を指しています。

シンギュラリティはもともと数学や物理学の専門用語で、「特異点」という意味があります。

アメリカの発明家であり、AI研究の世界的権威であるレイ・カーツワイル氏により、シンギュラリティという言葉がテクノロジー分野でも用いられるようになりました。

レイ・カーツワイル氏は、AIの計算能力が加速度的に進化していることを指摘し、いずれAIは人間の知能を超える地点に到達するという予測を提示しました。これが近年話題となっている「シンギュラリティ」に関する議論の始まりといえます。

2045年問題|シンギュラリティが起こる時期

2045年問題|シンギュラリティが起こる時期

レイ・カーツワイル氏は、「2045年にシンギュラリティが到来する」と予測しました。

もしAIが人類の知能を超越した場合、AI自身がAIを開発するという未来が訪れる可能性もあります。

これまで人類が担っていた役割を、AIが担うケースが増えていくことも考えられます。また、AIの進歩が加速度的に進むことで、やがて人は何も生み出さなくなるのではという意見も挙がっています。

こうした社会の変化や問題は「2045年問題」と呼ばれています。

しかし、シンギュラリティは2045年に必ず起こるというわけではありません。研究者によっては提唱している時期や、シンギュラリティのとらえ方なども異なっています。レイ・カーツワイル氏の意見は、あくまで数ある仮説のうちの一つなのです。

プレ・シンギュラリティ(前特異点)について

シンギュラリティが起こる前段階として、「プレ・シンギュラリティ(前特異点)」が起こるという意見もあります。

シンギュラリティが「AI技術が人間の能力を凌駕する技術的な変化点」であるのに対して、プレ・シンギュラリティは「現在の社会生活に大きな変化が生じる点」を指します。

プレ・シンギュラリティは2030年頃に実現されると考えられています。スーパーコンピュータやAIの著しい発展により「貨幣がなくなる」「人間の労働が不要になる」「エネルギー問題が解決され、エネルギーが無料で提供される」などの社会変化が起こることが予想されています。

シンギュラリティが社会に与える影響

実際にシンギュラリティが起きた場合、社会にはどのような影響があるのでしょうか。「雇用」「社会制度」「人体への影響」についてそれぞれみていきましょう。

雇用への影響

シンギュラリティは人材雇用にも影響をおよぼすことが予想されています。

シンギュラリティにより、従来は人間が担当していた業務の一部がAIに置き換わる可能性があります。

特に事務処理、工場のライン作業や生産管理、レジ係などの単純作業が多い職種はAIに置き換わる可能性が高いといわれています。また、自動車ドライバーやスポーツの審判などの専門知識が求められる業務も、AIに置き換わる可能性があります。

一方で、芸術分野や医療分野、ホスピタリティが求められる仕事は、シンギュラリティ後も残る可能性が高いと考えられています。例えば、漫画家、ダンサー、医師、栄養士、教師などの仕事がこれにあたります。

シンギュラリティが起きてAIが人間に代わりさまざまな業務をこなせるようになれば、人間の雇用は徐々に減少していくでしょう。

社会制度への影響

人間の仕事がAIに置き換わると、ベーシックインカム制度の導入が進むことが予想されています。ベーシックインカム制度とは、最低限の所得を保障する社会政策です。

ベーシックインカム制度は貧困問題の解決に有効ですが、個人の就労意識が低下してしまう可能性があるうえ、制度を維持するために莫大な財源が必要となります。そのため実現のハードルは非常に高いといえるでしょう。

人体への影響

進化したAI技術を活用し、人間の脳や臓器など、これまで謎に包まれていた身体の仕組みを解明できるのではという声もあります。

また、臓器など人体の一部をAIで人工化することにより、病死のリスクを減らすことも可能になるかもしれません。

シンギュラリティは実現するのか?

シンギュラリティは実現するのか?

社会に大きなインパクトを与えるシンギュラリティですが、シンギュラリティの実現性についてはさまざまな意見があります。

そもそもシンギュラリティは実現するのでしょうか。この章では、シンギュラリティの実現可能性について詳しくみていきましょう。

シンギュラリティの実現可能性

シンギュラリティの実現については、「ムーアの法則」と「収穫加速の法則」という2つの法則が根拠に挙げられることが多いです。

ムーアの法則は、1965年にIntel社の創設者であるゴードン・ムーア氏が提唱した「半導体の集積密度は18ヵ月~24ヵ月で倍増する」という法則です。

ムーアの法則についてレイ・カーツワイル氏は、テクノロジーだけでなく、あらゆる進化のプロセスにこの法則をあてはめ、「収穫加速の法則」を新たに提唱しました。

収穫加速の法則とは、「イノベーション同士が結びつくことで、新たなイノベーションが加速度的に進化し、その進化の先にシンギュラリティの実現がある」という考え方です。

これらの法則が有効な場合は、シンギュラリティは必ず訪れるものだと考えられるのです。

シンギュラリティは実現不可能という意見も

シンギュラリティの実現は不可能という声も少なくありません。

例えば、「AIは人間ではなく、人間と同じような思考をしない」「現在のAI技術のレベルから考え、2045年にシンギュラリティが起きるのは考えにくい」「人間の知性は感覚的なものであり、人工知能とは異なる」といった意見です。

シンギュラリティの実現については諸説ありますが、今後もAI技術は日々進歩していくことが予想されています。今後、人間はAIと上手に付き合い、よりよい社会を目指していくことが大切なのです。

シンギュラリティ後もAI人材のニーズは高い

シンギュラリティは、AIをはじめとしたIT技術の著しい発展によってもたらされる転換点です。AIに置き換わる職業もある一方で、AIに携わる仕事はよりニーズが高まることが予想されます。

AI技術の発展を担う「AI人材」とはどのような存在なのか、詳しく見ていきましょう。

「AI人材」とは

AI人材とは、AIに関する知識に精通している人材のことです。AI人材は「AI研究者」「AI開発者」「AIプランナー(事業企画)」の3種類に大きく分けられます。

AI研究者はデータサイエンティストと呼ばれることもあります。機械学習やディープラーニングについての知見を有し、研究やモデルの作成を担います。

AI開発者は、AIを装備したシステムの開発を行ないます。AIに関する深い知識を持つエンジニアやプログラマーなどが開発を担当します。

AIプランナーは、AIを実際に現場で活用できるようサポートする役割を担っています。

AI人材は今後も高い需要がある

AI人材には、高度で幅広い知識・スキルが求められます。スキルの習得に時間がかかることに加え、倫理観なども求められるため、AI人材は育成が難しいといわれています。

AI技術の発展・普及にともないAI人材のニーズは高まっていますが、需要に対して供給が追いついていない状態です。

今後も人材不足は続くことが予想されており、即戦力となるAI人材の市場価値はますます高まることでしょう。

AI人材やAIエンジニアについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
AI人材とは?必要な理由と求められるスキルや育成方法を解説
AIエンジニアとは?仕事内容、必要なスキルや資格について解説

シンギュラリティによって社会が大きく変化する可能性がある!

AI技術の進歩は目覚ましく、私たちの生活のあらゆるシーンでAIが活用されるようになりました。

AI技術は加速度的に進化しており、現在の「人間の仕事をサポートする」という役割から、いずれ「人間の仕事をAIが請け負う」という時代が訪れる可能性もあります。

しかし、たとえシンギュラリティが起きたとしても、人間でなくては対応できない仕事も少なくありません。いくらAIが進歩したとしても、完全にAI中心の社会になることは考えにくいでしょう。

私たちにとって大切なことは、技術の進歩と人類はどう向き合っていくべきかを考えることです。一人ひとりがAI技術について知り、よりよい社会に向けて人間とAIがどのように協働すべきかを模索することが求められているのではないでしょうか。