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SAP ERPとは?2027年問題についても併せて解説

この記事では、SAP ERPのサポート終了までに可能な対策や、SAP社が推奨している「SAP S/4HANA」について紹介します。現在SAP ERPを利用している、あるいは今後ERP製品の導入を検討している際はぜひ参考にしてください。

SAP ERPとは?2027年問題についても併せて解説

この記事では、SAP ERPのサポート終了までに可能な対策や、SAP社が推奨している「SAP S/4HANA」について紹介します。現在SAP ERPを利用している、あるいは今後ERP製品の導入を検討している際はぜひ参考にしてください。

知識・情報

2022/05/20 UP

SAP社が提供するSAP ERPの需要は非常に高く、基幹業務の統合によって多くの企業に貢献してきました。導入企業が多いことから、他社製品には真似できない性能の高さがうかがえるでしょう。しかし、2027年にはSAP ERPのサポートが終了するため、導入している企業は対策を講じなければなりません。

この記事では、SAP ERPのサポート終了までに可能な対策や、SAP社が推奨している「SAP S/4HANA」について紹介します。現在SAP ERPを利用している、あるいは今後ERP製品の導入を検討している際はぜひ参考にしてください。

SAPのERPは他社製品と何が違うの?

SAP ERPは、他社製品と比べて利便性の高さや経営判断への貢献度に違いがあります。ここでは、SAP ERPと他社製品の違いについて理解を深めましょう。

世界共通基準

SAP ERPは世界共通基準のシステムであり、世界中で高いシェアを誇ります。通貨や言語対応だけでなく、法令や商慣習に関しても世界中の企業に貢献できる仕様です。世界中の有力企業がSAP ERPを利用していることからも、品質の高さがうかがえるでしょう。

世界共通基準であることから、グローバル展開している企業にとっても利便性の高い製品です。海外拠点の業務も一元管理することで、海外取引に必要な人件費も削減できます。将来的にグローバル展開を検討している企業なら、迷わず導入したい機能性といえるのではないでしょうか。

連携しやすく迅速な経営判断に有効

業務の遂行やデータ管理を行なううえで重要なのは、バグ発生率の低いデータ連携です。各部門のデータをリアルタイムで連携できなければ数字に不整合が生じ、迅速かつ適切な経営判断が実現できません。

他社製品のERP製品は業務の部門によってデータが分かれており、バッチ処理を行なわなければ一元管理が難しいものもあります。また、バッチ処理が行なえる場合でも、連携が完了するまでは数字の確認ができないため、データの不整合につながる可能性も高まるでしょう。

SAP ERPを導入すればデータがリアルタイムで連携されるため、不整合が起こる心配はありません。例えば、販売部門のデータを変更すれば、生産部門のデータにもすぐに反映されます。

【2027年問題】SAP ERPのサポートが2027年で終了

【2027年問題】SAP ERPのサポートが2027年で終了

多くの企業を支え続けてきたSAP ERPは、2027年末でSAP社によるサポートが終了することになりました。その理由について解説します。

サポートを終了する理由とは

SAP ERPは、これまで多くの企業に貢献するため、時代に適した機能の拡充やバージョンアップを繰り返してきました。その結果、システムが肥大化し、リアルタイム性が失われてしまったのです。

新たな機能を拡充しても、既存の性能も維持しなければなりません。整合性を担保するための構造は複雑化し、システムの肥大につながったと考えられます。今後もビジネスニーズに応えるためには、リアルタイム性の高いシステムを提供しなければならないと考え、サポートの終了を決定したのでしょう。

保守期限は2年延長の「2027年」

基幹システムを導入している企業では「2025問題」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。これまではSAP社によるサポート期間が2025年だったことから「2025問題」と呼ばれてきましたが、2020年に欧州SAP社が2027年末に変更することを発表しました。

SAP ERPを導入している企業は日本国内だけでも2,000社はあり、すべての企業が対策を講じられるまでは時間がかかると予想されます。サポート期間が2年延長されたとはいえ、システムを変更する労力や時間に余裕ができたとは考えにくいでしょう。

SAP ERPサポート終了後の選択肢

SAP ERPのサポートが終了した場合、今後の選択肢はおもに3つです。ここでは、サポート終了後の選択肢について解説しますので、自社にとって最適な選択は何なのかを考えてみましょう。

サポートなしで利用を継続する

2027年以降は、新機能の更新や修正プログラムの更新、システムの改善といったサポートは受けられません。しかし、継続して利用し続けることは可能であり、システムを変更したり移行しなくても業務自体に大きな違いは発生しないでしょう。

重要なのは、今後システム障害などが起こった場合でも、SAP社によるサポートが受けられなくなることです。業務が停止してしまう可能性があるため、企業にとって大きな損失を被る可能性も否定できません。

また、正常に稼働しているシステムの刷新にはさまざまなリソースが必要になり、上層部も判断が難しい状況に置かれるでしょう。しかし、リアルタイム性を欠如したシステムは、迅速な経営判断の妨げになる可能性が高まります。継続利用のリスクに組織全体が理解を深め、自社に適した方法を選択することが重要です。

他社のERP製品に切り替える

ERP製品を提供しているのはSAP社だけではありません。他社のERP製品に切り替えれば、経営リスクも解消されるでしょう。また、システムを刷新することで、大規模なBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)につながる可能性もあることから、企業によってはメリットであると考えられます。

しかし、新たにシステムを構築するとなれば、人員だけでなく費用面の負担も大きくなるため、企業のリソースを考慮して決断しなければなりません。導入するまでには長期間必要なため、それまでの業務についても検討する必要があるでしょう。

また、他社のERP製品に切り替える場合は、自社業務に適したERPを選定することが重要です。そのためには、ERP製品に対する専門知識や総合的な業務への理解が必要であり、それを実現できる人材を育成しておかなければなりません。

SAP S/4HANAへの移行検討

SAP ERPを利用してきた企業におすすめの選択肢は、SAP S/4HANAへの移行です。SAP S/4HANAは、SAP ERPで問題となっていたシステムの肥大化に対し、スリム化することでリアルタイム性の維持を実現します。データ管理の不整合が起こる心配が解消され、安心して利用できるでしょう。

また、SAP S/4HANAはAzureなどといったクラウドによる構築も可能です。運用コストを抑えられることで、導入へのハードルも低くなると考えられます。なお、SAP S/4HANAへの移行はSAP社が推奨している方法です。これまでSAP ERPと相性の良かった企業は、SAP S/4HANAへの移行によってこれまでのような一元管理を実現するでしょう。

切り替えにおすすめ「SAP S/4HANA」を紹介

切り替えにおすすめ「SAP S/4HANA」を紹介

前述したように、サポート終了後の対策としてSAP社はSAP S/4HANAへの移行を推奨しています。SAP S/4HANAへの移行によってどのような変化があるのかを解説しますので、選択肢の一つとして参考にしてください。

SAP S/4HANAの特徴はより高品質な「スピード感」と「利便性」

SAP S/4HANAは、インメモリデータ処理プラットフォーム「SAP HANA」のアーキテクチャを基盤とした製品です。ハードディスクでデータを保持するよりもデータの出し入れが素早いことで、圧倒的なデータ処理速度を実現します。

さらに、従来のSAP ERPでは、ある1つの項目に存在するテーブル数が多くなってしまう側面がありました。商品数の多いケースではバックフラッシュ処理などで性能が不足してしまうため、SAP S/4HANAでは中間テーブルを排除してワークロードを少なくしています。これも高速処理を実現している理由の一つです。

また、SAP S/4HANAはこれまでのSAP ERPとは異なるUX設計になったことで、業務ごとに画面を行き来してデータ処理する必要がなくなりました。そのため、作業効率が大幅にアップし、他の業務にも良い影響があると考えられます。

エンドユーザーのオペレーションが少なくなれば、総保有コスト(TCO)の削減につながるほか、ストレージコストの削減なども可能です。

SAP S/4HANAを導入するメリットとは

これまでのSAP ERPで分析やレポーティングを行なう場合は、ERPとは別に構築されているデータウェアハウスから取得する必要がありました。SAP S/4HANAでは分析もレポーティングも同じ基盤で実現するため、迅速な経営判断をより加速させるでしょう。

前述したように、SAP S/4HANAはデータの処理速度が高速なため、タイムラグを感じることなく業務を遂行できます。膨大な経営データの分析も可能であり、業務効率化や生産性向上など、DX時代を迎えた企業に大きく貢献するでしょう。

SAP S/4HANAはオンプレミス型にもクラウド型にも対応しているため、企業に適したタイプを選べます。導入コストや運用コストを考慮すれば、クラウド型を導入するのが賢明です。実際に、クラウド環境へと移行している企業も多く見受けられます。

しかし、拡張性やセキュリティ面など、オンプレミスならではの魅力があるのも事実です。SAP S/4HANAはオンプレミス型とクラウド型の魅力を合わせた「ハイブリッド型」にも対応しています。業務内容や企業規模に適した環境を構築し、これまでにない経営戦略を立ててみてはいかがでしょうか。

SAP ERPの移行は早めに対応しましょう

SAP ERPのサポートが終了することで、企業は経営リスクを抱える可能性があることから、SAP S/4HANAに移行するのが賢明です。SAP社製品の導入支援を行なっているパートナー企業も存在するため、導入におけるハードルも低くなるでしょう。

しかし、サポート期間終了間近の対応では、導入ベンダーも不足することが予想されます。期限までに間に合うように、早めに対応する必要があるでしょう。

パソナテックでは、SAP社のサービスパートナーとして、SAP S/4HANAの導入支援サービスを行なっております。導入を検討している際は、お気軽にご相談ください。
統合基幹業務システム『SAP S/4HANA®』導入支援サービス

また、SAP社のサポート終了を受け、パソナテックでは「SAP S/4HANA Cloud Labというプロジェクトチームを新設しました。チーム発足メンバーの一人である石積直也氏のインタビューもご覧ください。
SAP S/4HANA Cloud移行プロジェクト プロジェクトストーリー