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テストの自動化とは?実施するメリットやポイントを解説します

テストの自動化とメリット、成功に導くポイントについて詳しく解説します。

テストの自動化とは?実施するメリットやポイントを解説します

テストの自動化とメリット、成功に導くポイントについて詳しく解説します。

DX

2022/01/18 UP

システム開発に求められる要件は、年々厳しさを増しています。短期間かつ低コストでの開発が求められることは、その一例。顧客の要望にこたえるためにも、開発業務の合理化が必須です。テストの自動化はおもな合理化の手法として、開発プロジェクトに欠かせないものとなっています。

この記事ではテストの自動化とメリット、成功に導くポイントについて詳しく解説します。

テストの自動化とは?3つの観点から解説

テストの自動化とは?3つの観点から解説

テストの自動化を知ることは、プロジェクト成功において欠かせないポイントです。ここでは3つの観点から、詳しく確認していきましょう。

ツールを活用し、システムのテストを自動で実施する作業

テストの自動化とはツールを活用し、システムのテストを自動で実施する作業を指します。テストの結果を可視化でき、都合の良いタイミングでまとめてチェックできることは魅力の一つ。加えて、以下に挙げる機能も活用できます。

・レポートの作成

・実行結果と期待結果の比較

・進捗管理

いわゆる「デグレ(正常に動作していたものが動かなくなること)のチェック」も、工数をかけずに行なえます。効率的なテストの遂行に貢献するツールといえるでしょう。

テストの自動化が求められる背景

社会の高速化に対応するため、アジャイル開発に代表される短期間でのシステム開発が求められています。しかし、テストにかけられる期間が短くなるものの、品質を下げるわけにはいきません。

相反する要求にこたえるため、自動化できるテスト項目は極力自動化することが求められます。機能が複雑となりテスト項目が増えた場合でも、テストの自動化により高品質なシステムを短期間・低コストで提供可能です。

テストの自動化には向き不向きがある

テストには自動化が適するものと、不向きなものがあります。自動化しやすいテストの種類を把握し、集中的に自動化を実施することがプロジェクトの成功につながります。

・自動化しやすいテスト

ツールを使った自動化は以下のテストで実施しやすく、効果を発揮することが特徴です。

・ユニットテスト

・APIテスト

・リグレッションテスト(回帰テスト、退行テスト)

・繰り返しの作業が多いテスト

・人手ではミスをしやすい手順を含むテスト

上記以外でも操作項目や手順を事前に決められるテストならば、自動化できます。

・自動化に不向きなテスト

テストのなかには以下のとおり、自動化に不向きなものもあります。

・探索的テストなど、ソフトウェアの動作を見ながらテスト項目を決めるテスト

・アドホックテストなど、場当たり的に操作するテスト

・ユーザビリティテストなど、ユーザーの使いやすさをチェックするテスト

・少ない回数しか行なわれないテスト

・ケーブルの抜き差しなど、物理的な作業が発生するテスト

上記のいずれかに該当する場合は無理に自動化せず、手動でのテスト実施がよいでしょう。

テストの自動化を進める手順

テストの自動化は、以下のとおり手順を踏んで行なうことが重要です。

1.テストを自動化する目的や、自動化の適用範囲を定める

2.自動化ツールの調査を行ない、テスト自動化に関するリスクを把握する

3.自動化の目標を具体的に定め、ツールを選定する

4.テストツールの環境構築を行なう

5.テストケースを作成する

6.テストケースをもとに、テストスクリプトを作成する

7.テストの実行タイミングを設定し、テストを行なう

8.テスト結果を確認し、必要なアクションを取る

9.必要に応じて、テスト環境やテストスクリプトをメンテナンスする

上記で示したとおり、テストの自動化にはさまざまな作業があります。特に導入前の検討は、テストの成否を決める重要な項目です。

テストを自動化する5つのメリット

テストを自動化する5つのメリット

テストの自動化は、さまざまなメリットをもたらします。ここではおもな5つのメリットについて、順に確認していきましょう。

人手不足のプロジェクトでも十分なテストを行なえる

開発プロジェクトはスケジュールが短く、人員も不足しがちなことが難点です。当初のスケジュールより遅れてしまうケースも少なくありません。

テストの自動化により、人手不足のプロジェクトにおいても十分なテストを実施できます。開発が遅れた場合でも多くのテスト項目を自動化し、テスト要員の削減と品質の確保の両立が可能。システムを期日通りに高い品質で納品することに貢献します。

テストを正確かつスピーディーに実施できる

人手によるテストでは、テスト作業そのものにもヒューマンエラーが起こる可能性があります。テストの自動化は以下に挙げるミスを防ぎ、正確な作業の遂行に貢献します。

・テスト項目の見落とし

・検出すべき不具合の見落とし

加えて人手より高速でテストを実施できることも、見逃せないメリット。過去には人手と比べて、テストの所要時間が16分の1で済んだ事例も公表されています。 自動化により、正確かつスピーディーなテストの遂行が可能です。

繰り返しのテストも簡単に実施でき、問題点を早期発見できる

テスト業務では以下のように、同じ作業が頻繁に繰り返されるケースもよくあります。

・多数のテストデータをもとに実施するテスト

・定期的に同一のテスト項目でチェックするテスト

・リグレッションテスト

上記のテストを人手で実施すると飽きや慣れ、疲労などにより、ミスを生じがちです。テストの自動化によりいつでも同じ品質のテストを、頻繁に実施できる点は大きなメリット。早期に問題点を検出し、品質の向上につなげることが可能です。

早朝や深夜、休日でもテスト可能

テストの自動化により、24時間365日いつでもテストを行なえるようになりました。例えば以下の状況でも、従業員を出勤させることなくテストの結果を得られます。

・他のシステムからデータが連携された時点で、速やかにテストを実施したい

・開発要員が不在の時間帯にテストを実施し、開発業務への影響を抑えたい

データの連携は、早朝や深夜に行なわれるケースも少なくありません。開発要員に十分な休養を与えつつ、適時適切なタイミングでテストを行なうためには、自動化ツールの活用が有効です。

テストに要するコストを削減できる

テストの自動化によりテスト要員の工数を削減することは、コスト削減にもつながります。残業時間の減少による残業代の削減は、代表的な効果の一つ。特に同じテストを繰り返す場合に、大きな効果を発揮します。

コストの削減は、プロジェクト収支の改善に直結します。この点を重視し、テストツールの導入を決めた方も多いのではないでしょうか。

テストの自動化を成功させる5つのポイント

テストの自動化を成功させる5つのポイント

テストの自動化を成功させるためには、ぜひ押さえておきたいポイントが5つあります。しっかり確認し、プロジェクトの成功につなげましょう。

テストの目的を決め、設計や体制をしっかり検討する

テストの成功には、目的の明確化が欠かせません。以下の項目は、目的とされやすい項目です。

・コスト削減

・時間の節約

・人材の有効活用

・品質の向上

どの項目を重視するかという点は、自動化するテストの範囲やテストツールの選定に大きく影響するため重要です。

加えて、プロジェクトの初期からテストの自動化を意識した設計の実施も重要です。想定すべきテストケースやテストスクリプトなどを、事前に検討しておきましょう。またテストツールの運用・保守に関する体制づくりも求められます。

自動化にはコストがかかることを認識する

テスト自動化で削減できるコストは多い一方で、自動化ならではのコストがかかることにも留意が必要です。

・テストツールの導入費用や、テストの仕組みづくりに関わる工数

・テストコードの作成工数

・テストツールの不具合に対応する工数(調査や修正対応など)

・保守運用費やツールの年間使用料

このため、1回だけで終わってしまうテストは自動化に不向きです。上記で挙げたコスト増を考慮したうえで、テスト自動化の導入が有効かどうか判断することをおすすめします。

適宜メンテナンスが必要

テスト自動化に用いるツールは、以下に挙げる導入後のメンテナンスも重要です。

・ツールのパッチ適用や、バージョンアップに関する対応を実施する

・機能の追加や変更に対応し、テストコードの改修や追加を実施する

・テストコードのリファクタリングを行なう

上記のメンテナンスを怠るとシステムの仕様と異なるテストを実施してしまい、品質低下につながりかねません。品質確保のためにも、こまめなメンテナンスが重要です。

自動化にこだわり過ぎない

テストの自動化は便利で効率的ですが、すべて自動化にこだわってはいけません。そもそも自動化されたテストは、事前に決められた方法でしかテストを行なえないことが欠点です。

このため自動化の強みを活かせるテストのみ自動で実施し、不向きなテストは人間により実施することが効果的です。自動化と手動それぞれの強みを活かした使い分けにより、少ないコストと時間でも品質向上が可能となります。

目的に合った自動化ツールを選ぶ

自動化ツールの適切な選定は、テスト自動化の成否を左右する重要なポイントです。このため複数のツールを比較検討し、最適なツールを選ぶことがおすすめです。各ツールの特徴を把握することはもちろん、事前に試用しテストの要件を満たせるか、使いやすいか十分チェックすることも欠かせません。またサポートが十分に受けられることも、重要なポイントとなるでしょう。

代表的なテスト自動化ツールを紹介

ここからは代表的なテスト自動化ツールについて、確認していきましょう。Webアプリケーションの場合は、以下のツールが代表的です。

・Selenium

・Autify

・mabl

Autifyはノーコードツール、mablはローコードツールであるため、開発経験の浅い方でも利用可能です。

一方でスマートフォン向けアプリケーションの場合、代表的なツールには以下のものが挙げられます。

・Appium(Android、iOS両方に対応可能)

・UI Automator(Androidに対応)

・XCTest(iOSに対応)

それぞれのツールには機能やコストの違いもあります。事前にチェックしたうえで、貴社に適したツールを選びましょう。

自動化の特徴とメリットを活かしたテストを実施しよう

テストの自動化には向き・不向きがあるため、すべてのテストを自動化することは非効率です。自動化の特徴と強みを把握したうえで、ツールのメリットを活かせる方法に絞った自動化がおすすめです。

適切なテストツールは、プロジェクトの状況や要求事項により異なります。事前に自動化の目的や目標をしっかり決め、プロジェクトの要求を満たせるテストツールを選びましょう。