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プログラム設計ができないは卒業!開発の流れや手法を解説

プログラム設計をスムーズに進めるために必要な工程の流れや手法を解説します。プログラマーからステップアップして業務の幅を広げられるように、ぜひ参考にしてください。

プログラム設計ができないは卒業!開発の流れや手法を解説

プログラム設計をスムーズに進めるために必要な工程の流れや手法を解説します。プログラマーからステップアップして業務の幅を広げられるように、ぜひ参考にしてください。

知識・情報

2021/09/10 UP

プログラミングを習得したエンジニアが次にぶつかる壁は「プログラム設計」でしょう。いままで設計書を通りに漠然とプログラミングをしてきた場合は、どのようにプログラム設計に取り掛かればいいのか分からない人も多いのではないでしょうか。

この記事では、プログラム設計をスムーズに進めるために必要な工程の流れや手法を解説します。プログラマーからステップアップして業務の幅を広げられるように、ぜひ参考にしてください。

プログラム設計とは「プログラム動作を定義する工程」

プログラム設計とは「プログラム動作を定義する工程」

プログラム設計とは実際にコーディングをする前に、プログラムの動作や処理の内容・データの流れを定義する工程です。プログラム設計では「プログラム設計書」とよばれる成果物を作成します。

これは、指示通りにコードを書いていけばプログラムが完成するようなもので、各システム開発工程で作成する設計書の中でも、最もプログラミング工程に近い成果物の一つです。

なお、プログラム設計は要件定義から保守運用までの流れを示すシステム開発工程の1工程です。明確な定義はなく、各企業やプロジェクトの開発方針によっては「内部設計」や「詳細設計」とよばれることもあります。

システム開発工程をおさらい

システム開発工程とはシステムを品質・予算・スケジュールの計画通り開発を進めるために定められた開発プロセスの集まりのことです。プロジェクト規模や開発手法によっても工程の切り方や名称に多少違いがありますが、代表的なシステム開発工程は以下の工程で構成されています。プログラム設計はプログラミング工程と隣接する工程です。

・要件定義:要求元のクライアントとともに、どのようなシステムを作るのかを定義する

・基本設計:要件定義内容を元に、どうやってシステムを作るのかを設計する

・詳細設計、プログラム設計:各機能・モジュールで何の動作をさせるのかを定義する

・プログラミング工程:設計書を元にプログラム言語を使ってコーディングする

・結合試験:複数の機能・モジュールを組み合わせ不具合がないかを検証する

・システムテスト(総合試験):各機能を繋ぎシステム全体で不具合がないかを検証する

・受入、運用テスト:実際の業務を想定し、要件定義内容が実現できているかを検証する

・システム切替(リリース):開発したシステムを商用環境に移行する

・保守、運用:メンテナンスや障害対応など、リリース後システムの安定稼働させる

各工程は前後の工程が密接に関連しています。効率よく高品質なシステムを開発するためには、担当する工程だけでなく前後の工程・および開発工程全体を意識することが重要です。

なお、開発全体の流れについては、こちらの記事も併せてご確認ください。
ソフトウェア開発はどのような流れで進めるのか?その工程を詳しく解説

プログラム設計の流れ

プログラム設計の流れ

プログラム設計では、要件定義、基本設計、外部設計までの内容を元に、実際にプログラマーがプログラミングできるように、各モジュールの処理内容やデータフローの詳細を詰めていきます。

ここからはプログラム設計の基本的な流れについて、順を追って解説します。

プログラムの目的を明確にする

いきなり設計書を書き始める前に、何のためのプログラムなのかを理解しましょう。プログラム設計の前工程である基本設計や要件定義工程の成果物を参照しながら、どのような機能なのか、目的・背景は何か、を明確にします。

しっかりと明確にすることで、プログラム設計書単体での整合性が取れるだけでなく、システム全体を見ても繋がりが把握しやすく高品質なプログラム設計が可能になります。

プログラム設計は省略されることもある工程ですが、この工程で全体の流れや構造をしっかりと整理しておけば、次工程であるプログラミングの際に、迷いや手戻りを減らし、システム品質を高めることができます。

プログラム仕様を定義する

1つ前の手順で整理した「プログラムの目的」を実現するために、プログラムをどのように動作・処理させればいいのか(仕様)を定義しましょう。具体的には利用者が触る画面の構成や帳票の仕様、ビジネスロジック、バッチ・データベースなどの仕様を必要に応じて検討します。

なお、プログラム仕様では単純に要求を満たすかどうかを意識するのではなく、メンテナンス性の高い設計にしたり、共通機能はプログラムを部品化して再利用をできるようにしたりと、将来的な保守・運用性能を考慮してみましょう。目先のことだけでなく広い視野を持つ「一歩進んだエンジニア」として評価されやすくなります。

成果物を作成する

プログラム設計の集大成として詳細設計書やプログラム設計書などの成果物を作成する作業です。一般的に設計書には以下のような内容を盛り込みます。

・プログラムの中で登場する変数、クラス、関数などの定義

・定数を使用する場合は定数名や定数リスト

・使用するライブラリの一覧

・入出力データの内容や取得元

1通り成果物作成が完了したら開発チームメンバーとレビューを実施し、処理の内容に非効率な部分はないか、要件定義や基本設計の内容が漏れなく記載されているかなどを確認します。

プログラム設計のポイント

プログラム設計を効率的、かつ高品質に実施するために気をつけたいポイントを3つ解説します。どれもすぐに実践でき、効果の高い方法を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

フローチャートなどの図表を活用する

プログラム設計書をテキストだけで書いてしまうと伝わりにくく、実装漏れが生まれる可能性があります。字がびっしり書いてある設計書を読む気がしないのは、誰もが感じる正直な感想でしょう。

プログラム設計書では処理の流れやデータの状態はフローチャートを使ったり、条件分岐の部分ではマトリクス表を使ったりが有効です。可能なかぎり図表を使うと視覚的にイメージしやすく、設計者とプログラマーの間で認識齟齬が生まれにくくなります。

詳細設計書を細かく書きすぎない

プログラム設計書は細かく書きすぎてコーディング内容を日本語化しただけになってしまうものをよく見かけます。しかし、日本語でプログラミングをするように各制御文や条件文を記載していては二度手間であり非効率です。

一方、プログラム設計自体の工程を省略することもありますが、品質にバラツキが出たり、テスト工程で不具合が多発したりと品質をはじめとするプロジェクト計画に影響が出ることもあります。

実際のプロジェクト現場では品質と開発効率をバランスよく実現するための方法として、入出力や機能のポイントのみ簡潔に記載し、実装内容はプログラマーに任せるの方法がよく用いられています。ただし、設計書を簡素化する場合は設計者とプログラマーの間で認識齟齬が起きないように密にコミュニケーションをとることが大切です。

ツールを使って効率化する

プログラム設計で利用できるフローチャート、ネットワーク構成図、データベース図などを簡単に作成できる開発ツールは多く公開されています。ツール画面上で簡単に図表が作成できたり、作成した図表をチーム内に共有・レビューを受けたりなどの機能があったりと利便性の高さがメリットです。代表的な開発ツールは以下が挙げられます。

・astah*:設計工程をサポートする豊富な機能を備える。コードの自動生成などもあり

・Enterprise Architect:業務システムやwebアプリなど広範囲の開発をカバーできる

・Gridraw:快適な操作性が魅力の設計支援ツール

・Sphinx:Pythonでの開発を主体としたソフトウェア設計ツール

トライアル版を無料利用できるツールも多いので、使い勝手や必要な機能の有無などで選ぶと良いでしょう。

プログラム設計は保守運用にまでかかわる重要なポイント!

プログラム設計はプログラミング作業の効率アップや保守・運用の負担を減らすなどがメリット。メリットを最大限に享受するためには、プログラム設計書に必要なものをしっかり理解し、分かりやすい書き方を意識することが大切です。

プログラム設計をスムーズに実施することができればエンジニアとしてのキャリアアップに繋がるだけでなく、他のエンジニアに差をつけることもできます。この記事の内容を参考にプログラム設計に取り組んでみましょう。