エッジAIとは?クラウドAIとの違いや利用シーンについても解説

エッジAIとは?クラウドAIとの違いや利用シーンについても解説

エッジAIの概要やクラウドAIとの違い、実際の利用シーン、メリット・デメリットなどについて解説していきます。

近年では、ディープラーニングの進展により、AI(人工知能)技術も著しく進化を遂げています。そんななか、特に注目を集めているのがエッジAIです。エッジAIは、リアルタイム性が重視されるシーンに最適な技術であるほか、今後の自動運転車や第4次産業革命にともなう工場の自動化には欠かせないといわれています。また、IoTとの相性も良いことから、IoT技術の成長・拡大とともにエッジAIの重要性も増していくことになるでしょう。

この記事では、エッジAIの概要やクラウドAIとの違い、実際の利用シーン、メリット・デメリットなどについて解説していきます。

今注目されるエッジAIとは何か?

エッジAIの「エッジ」は「端」という意味があり、末端となる端末機器や無線基地局などを指します。つまりエッジAIとは、スマートフォンをはじめ、IoTでつながった各電化製品に直接AIを搭載し、直接情報処理をおこなう技術のことです。

これまでは、使いたいソフトウェアがあればクラウド上のサービスを利用するというのが主流でした。しかし、近年ではIoTをはじめ、通信料の大幅な増加や情報のビッグデータ化、高度な機能などが求められるようになってきており、クラウドで対応しきれない場面も多いのが現状です。特にリアルタイム性を重視するシーンでは、ちょっとした通信遅延が致命傷となるため、クラウドの使用は向きません。

こういった状況下で誕生したのがエッジAIです。これまでクラウドでおこなっていた情報処理をエッジ側でおこなうことで、通信遅延のないリアルタイムな処理が可能となります。

また、富士経済グループの調査では、エッジAIの市場規模は2018年度が110億円であったのに対し、2030年度には664億円にまで拡大すると見込まれています。そのため、今後はあらゆるシーンでエッジAIが導入されていくことが考えられるでしょう。

クラウドAIとは?

エッジAIと対になる言葉として、クラウドAIがあります。クラウドAIとは、大量のデータをデータセンターなどへ送信し、データセンター内のCPUやGPUを使って高速学習するというもので、クラウドにAIが搭載されています。

クラウドAIでは、大量のデータを蓄積することはもちろん、それらを高速処理して学習モデルを作ることが可能です。たとえば、GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)などが提供するクラウドサービスにはAIを搭載できるものがあり、これらを基盤として「クラウドAI」が提供されていることがあります。

しかし、クラウドAIにはデメリットもあり、データ量が増えるほど通信料がかさむほか、インターネット経由での処理になるため、高速処理が難しいと言われています。また、すべてのデータがクラウド上に集められることから、セキュリティやプライバシーに関するリスクもゼロではありません。

 

エッジAI

クラウドAI

AI機能

エッジ(端末)

クラウド

 

特徴

●プライバシーが保護される

●リアルタイムな処理が可能

●低コスト

●複雑な処理が可能

●大規模なデータの迅速処理が可能

エッジAIの利用シーン

では、エッジAIはどのような場面で利用されているのでしょうか。ここからは、さまざまなシーンで活躍しているエッジAIの活用事例についてみていきます。

自動運転

エッジAIは情報処理をリアルタイムにおこなえるため、車の自動運転技術には必要不可欠な存在です。自動運転ではカメラやLiDAR(ライダー=光センサーの一種)などのセンサーが取得したデータを分析し、状況を判断しながら車両を制御する必要があります。その際、コンマ数秒でもタイムラグが発生すれば大事故につながる可能性があるため、クラウドAIでは担うことができません。

特にセンサーの分析については、カメラやLiDAR、ミリ波レーダーといった各センサーのデータを融合する高い技術が求められることから、エッジAIの開発需要も急激な高まりを見せています。

スマートフォンにも搭載

スマートフォン各社もエッジAIの開発に力を入れており、たとえば最新機種にニューラルエンジンを搭載しています。このニューラルエンジンは、カメラやマイクから取得したさまざまなデータを機械学習して分析することで、カメラの判別機能や自然言語解析を強化するものになります。

人物行動分析サービス

エッジAIは、頭や手首、足首など、体の一部に付けて使用するウェアラブルデバイスにも採用されており、医療分野や工業分野などで活用されています。ウェアラブルデバイスは顔認証の画像処理をエッジ側でおこない、クラウド上のデータと合わせて分析します。これにより、カメラ映像から抽出した人物の動きを予測したり、追跡したりできるようになるため、小売店舗などの購買行動分析で活用されています。

混雑状況配信システム

飲食店などの空席情報をWeb上で確認できるというソリューションにもエッジAIが活用されています。カメラに搭載エッジAIが、来店客のプライバシー領域を自動でマスキングすることで、来店客のプライバシーを守りつつも、リアルタイムな混雑状況をWeb上で見られるようにするというものです。

工場の検品

工場などで使用しているカメラで撮影した画像に対し、画像認識をおこなうことができるエッジAIも存在します。専用ツールで認識モデルを作成すればすぐにエッジAIが作成され、これまで人がおこなっていた検品作業を自動化することが可能になっています。

エッジAIのメリット・デメリット

ここからはエッジAIのメリット・デメリットを、クラウドAIと比較しながらわかりやすく解説していきます。

エッジAIのメリット

すでにさまざまな実証実験がおこなわれているエッジAIですが、具体的なメリットは大きく3つ挙げられます。

・セキュリティリスクの軽減

クラウドAIの場合、クラウド上で情報処理がおこなわれるため、すべてのデータをクラウド上に送る必要があります。もちろん、大切な情報が漏れないようさまざまなセキュリティ対策が施されてはいますが、万が一セキュリティが破られてしまえば世界中に広まってしまう可能性もあるため、安全面で課題を抱えているのが現状です。

しかし、エッジAIでは端末で情報処理がおこなわれるため、大切な情報をクラウドへ送る必要がありません。そのため、情報の流出リスクを軽減することが可能です。

・障害耐性

クラウドAIが抱えている課題には、障害発生のリスクもあります。障害の原因はさまざまですが、発生原因はソフトウェアの障害や管理者の操作・設定ミスが多く、ハードウェアの障害は10%前後だといわれています。障害が起これば情報処理ができなくなるほか、クラウド利用者の業務に深刻な影響を与える可能性もあるでしょう。

一方、エッジAIの場合はクラウドを利用しないため、万が一障害が起こるとすればハードウェアの問題ということになります。また、その際は該当する端末が使用できなくなるだけなので、深刻な問題に至らないケースがほとんどです。つまり、エッジAIは障害耐性が高いといえます。

・コスト低下(通信コストなど)

エッジAIにはコストが安いというメリットがあり、これはエッジAIが普及してきた大きな要因ともいえるでしょう。

これまでのAI開発は、検討や開発に高額なコストがかかることから検討段階で終わってしまうことも少なくありませんでした。つまり、高価な機材のある環境でしか開発できなかったのです。

しかし、現在ではAI開発の学習フレームや開発環境などが充実してきたことに加え、エッジAIが利用できるデバイスの種類が増えたことで、用途、目的、価格、性能に応じたプラットフォームを選択できるようになりました。これにより、多くのエンジニアが安価、もしくは無料でエッジAIを開発できるようになったのです。

また、エッジAIの場合は、端末で収集したデータをクラウドに送る際も情報の選別がおこなわれるため、送るデータ量が抑えられ、通信コストを節約することが可能です。

エッジAIのデメリット

では、エッジAIにデメリットはあるのでしょうか。エッジAIには大きく2点、デメリットがあると考えられます。順番に見ていきましょう。

・大規模な処理が難しい

エッジ側で使えるCPUなどのリソースは、クラウドと比べて限定的です。そのため、たくさんのリソースを使用するような処理は不向きと言えます。

たとえば大規模データの処理などが一例として挙げられます。エッジAIの場合、限られたリソースで大規模データの処理を行おうとすると、とても遅くなる、もしくはできないといったこととなりますが、クラウドAIの場合、潤沢なリソースで処理が可能になります。

・システム全体が複雑になってしまう

エッジ側ではデータを収集して転送するだけのクラウドAIと比較して、エッジAIは、その場でAI処理を行い、一部は転送してクラウド側で処理を行い、といった形でシステムが複雑化することが予想されます。

そのため、設計、管理、保守、運用が、クラウドAIではシンプルにクラウド側を重点的に行えばよかったのに対して、エッジAIの場合はエッジ側も考慮に入れる必要が出てきます。

QumicoとエッジAI

エッジAIのメリットでも紹介したように、最近はAIの開発環境が充実してきており、エッジAIのフレームワークなども誕生しています。そのなかでも特に注目されているのが「Qumico(クミコ)」です。

Qumicoは、パソナテックが独自開発したフレームワークです。エッジAIに特化しているためIoTとの相性が良く、ロボットやAI家電など、エッジ機器で手軽にディープラーニングを活用することができます。

Qumicoの主な特徴は以下です。

<Qumicoの主な特徴>

・ディープラーニングの学習に業界標準フレームワークを使用できる

・学習結果をスピーディーに組込機器へ実装できる

・業界標準フレームワークが対応していないボードでもエッジAI動作が可能

Qumicoの大きな魅力は、プログラミング言語の「Python」で作成した学習済みのニューラルネットワークを、「C言語」に自動変換できることです。これにより、C言語をベースとしたさまざまな最適化が可能となります。

一般的にIoT/エッジといわれるような組込機器ではPythonよりもC言語が主流になるため、C言語で書けるQumicoはエッジとの相性が抜群なのです。

また、QumicoのプログラムソースはGitHubで公開されているので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

GitHub:PasonaTech-Inc/Qumico

まとめ

まとめ

エッジAIとは、スマートフォンをはじめ、IoTでつながった各電化製品に直接AIを搭載し、直接情報処理をおこなう技術です。これまではクラウドでデータ処理をおこなうクラウドAIが主流でしたが、現在は高度な機能やリアルタイム性が求められるようになってきたことから、エッジAIが注目を集めています。

エッジAIはすでにさまざまなシーンで活用されており、車の自動運転技術においては必要不可欠といわれるほどです。また、私たちの身近なものであるスマートフォンにもエッジAIが採用されており、画像や音声データを機械学習して分析を行っています。

クラウドAIに比べセキュリティや障害耐性、コスト面なども優れていることから、今後エッジAIは、さらに需要が高まるといえるでしょう。

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