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Python3エンジニア認定基礎試験について、重点分野や勉強方法を解説

本記事では、Pythonの基礎的な知識を問う民間試験である、Python3エンジニア認定基礎試験について紹介します。

Python3エンジニア認定基礎試験について、重点分野や勉強方法を解説

本記事では、Pythonの基礎的な知識を問う民間試験である、Python3エンジニア認定基礎試験について紹介します。

キャリア

2022/10/20 UP

PythonはWebアプリケーションの開発や機械学習、データ分析など多くの分野で活用され、注目を集めています。本記事では、Pythonの基礎的な知識を問う民間試験である、Python3エンジニア認定基礎試験について紹介します。試験の概要や勉強方法、そして合格後のステップなども解説するため、これからPythonの知識を深めていきたい人は参考にしてください。

Python3エンジニア認定基礎試験とは

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プログラミング言語のPythonは多くの分野で活用されており、人気の高い言語です。Pythonの基礎的な知識を問う本試験について、試験の内容や出題範囲などを解説します。

Pythonについて

Pythonは1991年にオランダ人のプログラマーによって開発されたプログラミング言語です。Webアプリケーションの開発や機械学習の開発、データ分析、ブロックチェーン開発など多くの分野で活用されています。Pythonエンジニアの求人数は年々伸び続け、2017年から2022年で約9倍に増加しました。今後も活用分野の拡がりやユーザー数の増加が期待されるでしょう。

Pythonのプログラムは簡潔にかけるため、初心者でも習得しやすく、可読性も良いことが特徴です。また科学技術系をはじめとする専門的なライブラリが豊富であり、既存のライブラリを活用することで多様なプログラムを用意に作成できます。Webアプリケーション用の「Django」、数値計算や統計処理用の「NumPy」や「Pandas」、機械学習用の「scikit-learn」などがあり、ライブラリの活用で複雑な処理も簡潔に記載できるようになります。

試験の概要

Python3エンジニア認定基礎試験は、Pythonの文法の基礎を問う問題です。Pythonにはバージョン2系と3系がありますが、本試験は新しい3系が対象です。2つのバージョン間には互換性がないため、勉強する際には注意してください。

本試験は40問の選択問題を60分間で回答する内容で、合格ラインは正答率70%です。試験の方式はCBT(Computer Based Testing)と呼ばれる、試験会場に設置されたコンピュータ上で受験する形式です。試験は通年で実施されており、年に何度も受験できるためご自身の好きなタイミングで受験すると良いでしょう。ただし3回目以降の受験は前回の試験日から7日間以上空けること、という制約があります。

出題範囲

本試験の出題範囲は、オライリー・ジャパン出版の「Pythonチュートリアル 第四版」に掲載されている内容です。書籍ではPythonの初心者を対象として、言語の機能やコンセプト、文法などを解説しています。

書籍は全部で14章分の内容がありますが、試験では各章の内容から何問ずつ出題されるかが決まっています。試験の主催団体であるPythonソフトウェア財団のWebサイト上で公開されているため、受験を考えている人は確認してください。ほぼすべての章から出題されていますが、出題率が高めな分野もあり、試験で重点的に勉強すべき内容が把握できます。

重点分野

重点分野

試験の主催団体のWebページ上で公開されている出題分野から、出題率が高く重点的に勉強すべき分野をいくつか紹介します。

制御構造ツール

制御構造ツールとは、プログラムの処理の流れを記述するための構文のことです。試験の出題分野のなかでも最も出題率が高く、20%を超えています。本試験を受験する際には必ず押さえておくべき分野であるといえるでしょう。

制御構造ツール自体は他のプログラミング言語にも存在し、条件分岐を表すif文、繰り返しを表すfor文やbreakとcontinue文などが基本となります。他にも自分で定義した関数の作成や、引数の指定など自作関数の使い方に関する内容も含んでいます。試験範囲にはラムダ式も含まれており、ラムダ式は一行で終わるほどの簡易的な関数であることから無名関数とも呼ばれています。

データ構造

出題範囲のなかで2番目に出題率が高い分野がデータ構造です。データ構造とは、データを一定の形式で格納した集合体のことで、データ形式を合わせると効率的な管理ができ扱いやすくなるというメリットがあります。Pythonで利用できるデータ構造には、リストやタプル、集合(set)、ディクショナリなどがあります。各データ構造の使い方や違いなどは確認しておきましょう。

例えばリストや集合、ディクショナリはデータの追加や更新、削除ができる「変更可能」なデータ構造です。一方でタプルは、こういった操作ができない「変更不可能」な構造であるという違いがあります。他にも集合やディクショナリは各要素の順序がないが、リストやタプルには順序があるなどの違いもあります。

エラーと例外、標準ライブラリ

プログラムで発生したエラーに対する例外処理も、出題率が高い分野です。例外処理とは、プログラムの処理の途中でエラーが発生した場合に別の処理を実行させることであり、予期しないエラーへの対応が可能となります。プログラムを安定して動作させるために必要な処理であり、データの破損やシステム停止などを防ぐことにもつながります。

Pythonに標準で搭載されている標準ライブラリに関する内容も、出題率が高いです。ライブラリを使用することで複雑な処理を簡潔に記述でき、可読性も良くなるというメリットがあります。標準ライブラリの基本的な使い方や各ライブラリの機能などを勉強しておくとよいでしょう。

おすすめの勉強法

試験に合格するための勉強法について紹介します。参考書を読んで出題範囲の内容に関する知識を学び、実際にプログラムを記述して知識を定着させ、試験直前には模擬試験を受験して仕上げる、という流れをおすすめします。

参考書を用いた学習

試験の教材として指定されている「Pythonチュートリアル 第四版」の内容はぜひ確認しておきましょう。ただし難易度は少し難しく、翻訳本のため読みづらさを感じる場合もあるので初心者向けの書籍ではありません。初めてPythonに触れる方は、先に入門本に位置付けられるような書籍を選んで勉強することをおすすめします。

最初の一冊は実際に本屋で手に取って内容を確認し、自分が理解しやすそうだと感じた書籍を選ぶとよいでしょう。ただし、なるべく発行時期の新しい書籍を選んでください。内容が古くてPythonの最新バージョンに対応していない書籍では、間違った知識を得たり、プログラムを作成するための環境構築がうまくいかなかったりなどのデメリットがあります。入門本を読んで一通りの知識を頭に入れてから、「Pythonチュートリアル」を読めば理解しやすくなるはずです。

実際にプログラムを記述

本を読んで知識をインプットしたあとは実際にコードを書くアウトプットの練習も行ないましょう。プログラミングの学習では、実際に自分でコードを書いて見なければなかなか身に付かないものです。頭ではわかっていたつもりでも、実際にコードを書いて動かしてみると想定通りの動作をしないということはよくあります。コードを書くというアウトプットの練習をすれば、自分の理解が足りない箇所がわかるようになるはずです。

ちなみに本試験の内容を自分で試すだけであれば、Pythonのインストールだけで良いので難しくありません。実際の環境構築の方法は書籍またはインターネットで検索すれば見つかります。ただしご自身が使いたいPythonのバージョンに合う内容かどうかは確認しておきましょう。

模擬試験を受験する

資格試験の勉強において過去問題を解いて傾向をつかむことは重要です。しかし、残念ながら本試験の過去問題は公開されていません。そのため本試験の認定スクールが無料公開している模擬試験を受験することをおすすめします。認定スクールは複数存在し、Pythonソフトウェア財団のWebサイト上で公開されています。

模擬試験を受験するには、各認定スクールに名前やメールアドレスなどを登録する必要があります。登録すれば無料で何度も模擬試験を受験できるので、試験問題の傾向をつかみ、時間配分の練習に活用しましょう。ただし、スクールによっては有料プランでないと問題の解説を閲覧できない場合もあるのでご注意ください。

Python3エンジニア認定基礎試験に合格した後のステップ

Python3エンジニア認定基礎試験に合格した後のステップ

Python3エンジニア認定基礎試験は、Pythonの基礎的な知識を問う試験です。そのため合格後にPythonを活用してステップアップするためにできることを解説します。

プログラムを作成して活用

試験で問われるのはあくまでもPythonの基礎文法に関するものであるため、実際に自分でプログラムを作成する練習を積むことをおすすめします。試験に合格すればプログラムを作成する基礎知識は備わっているはずなので、わからない点があっても自分で調べながら作れるはずです。

日常業務におけるルーティン作業の効率化、複雑な計算処理の自動化、Web上から自動的に情報を集めるスクレイピングなど、プログラミングを活用してできることを探してみましょう。何が作れるか思いつかない場合は、インターネットや書籍などを参考にして真似してみるのも一つの方法です。実際に作成してさらに勉強したい内容が見つかれば、Pythonの能力を伸ばすチャンスになります。

Pythonに関する上位試験

Python3エンジニア認定基礎試験の上位試験として「Python 3 エンジニア認定データ分析試験」があります。試験の主催団体は同じPythonソフトウェア財団で、Pythonを用いたデータ分析に特化した内容です。数値計算用のNumPy、表形式データ処理用のPandas、データ可視化ツールのMatplotlib、機械学習用のscikit-learnといったライブラリに関する知識も出題されます。

また次期試験として「Python3エンジニア認定実践試験」が予定されており、2022年5月~7月にβ版試験が実施されました。プログラマーのコーディング力の底上げを目的とした、より実践的な内容となっています。Pythonのコーディング規約やテキストの処理、データ型とアルゴリズム、デバッグなどが出題範囲に含まれます。

国家試験に挑戦

Python3エンジニア認定基礎試験は民間の試験であるため、就職や転職、昇進などのアピール材料としては少し弱い点がデメリットです。IPA(情報処理推進機構)が主催団体である情報処理技術者試験は、国家試験であるため知名度も高くおすすめできます。ITに関する知識や技能が一定以上の水準であることを認定するものであり、難易度や技術分野に応じた複数の試験区分があります。実際にIT業界の採用要件として記載されることもあるため、持っていて損はないでしょう。

ITを活用する社会人全般を対象にITの一般的知識を問うITパスポート試験、IT技術者向けに基本的知識を問う基本情報技術者試験は初心者におすすめの試験です。さらに難易度の高い試験には、IT技術者として2、3年の実務経験がある人向けの応用情報技術者試験、ネットワークやデータベースなど各分野に特化した内容の高度情報処理技術者試験があります。

Python3エンジニア認定基礎試験はPythonの基礎を学びたい人におすすめ

Python3エンジニア認定基礎試験はPythonの基本文法に関する試験であり、出題範囲となる参考書もあるため、Pythonの初心者におすすめできます。制御構造ツールやデータ構造などが試験の重点分野となりますが、これらの知識は実際にPythonでコードを書く際にも役立つはずです。

参考書を用いた学習だけでなく、実際に自分でコードを書くアウトプットの練習もしておきましょう。いざ書いてみると思わぬミスがあったりして自分の理解の抜けや漏れに気付けるはずです。また本試験はあくまでもPythonの基礎に関するものであるため、合格後は実際にプログラムを作成したり、さらに上位試験に挑戦したりして技術力の向上を目指すとよいでしょう。