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トップページてくらぼWeb Designer Inspire Night 開催レポートVol.9 「プログラムで動くものをデザインする上で知っておくべきプログラミングのこと」阿部 貴弘

Web Designer Inspire Night 開催レポート
Vol.9 「プログラムで動くものをデザインする上で知っておくべき
プログラミングのこと」阿部 貴弘

2010.01.07
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Web Designer Inspire Night 第9回のゲストはFlashサイトの作成を劇的に改善した「Progression(プログレッション)」の開発者で株式会社CLOQUEの阿部 貴弘(アベ タカヒロ)さんです。
Webデザイナー出身で現在、プログラマーとして活躍されているゲスト講師が、「デザイナーがプログラマーと分業する際に、知っておくべきプログラミングのこと」についてお話いただきました。

阿部 貴弘さん




阿部 貴弘さん
株式会社CLOQUE.代表取締役
クリエイティブディレクター
Progression プロダクトマネージャー
クリエイティブユニット kujaku
アートディレクター



Webデザイナーがプログラミングを理解する必要はあるのか
『今回の話は、「デザイナーがそもそもプログラミングを理解する必要があるのか」と、いう部分に焦点を当ててお話させていただきますが、この問いに対して結論を言うとデザイナーはプログラミングを理解する必要があると考えています。』と、阿部さんは仰います。

"デザイナーがプログラミングを理解しようと思う動機"について「デベロッパとの分業がうまくいかないから」「表現の幅を広げたいから」「全部をひとりで作ってしまいたいから 」など、色々あると思います。
しかし、阿部さんはプログラムで動くものをデザインするのであれば、プログラムを理解していなければデザインできないと考えています。

通常、デザイナーが求められる役割として以下のようなものがあります。

●イメージコントロール

そのデザインによってユーザーに対して、どのような印象を与えたいのか?
特にインタラクティブなコンテンツの場合、動的な演出はイメージコントロール上においての重要な要素であるため、デザイン段階で考慮しておく必要があります。

●ユーザビリティコントロール

イメージコントロールが伝えたい側からの発信装置だとすると、それを受け取るユーザー側が受け取りやすいように、使いやすさなどを考慮したデザインを制作しなければいけません。インタラクティブなコンテンツの場合、マウスやキーボードなどの出入力インターフェイスに対する理解が必要となります。

●スケーラビリティコントロール

更新性の求められるコンテンツの場合、外部データとの連携が前提となります。表示されるデザイン上でデータを扱うには、そのデータの持つ特性を理解する必要があります。特性を理解するには、データを処理するプログラムを理解しなければいけません。それらを理解した上でデザインすることで、更新性・拡張性に優れたサイトを設計可能となります。

つまり、プログラム処理の結果、出力されるコンテンツのデザインをするのであれば、プログラムの理解力が必要となります。特にリアルタイムに処理されるインタラクティブなコンテンツの場合には、プログラムのウエイトが増すので、より重要なものとなります。

例えるならば、一流のシェフが素材にこだわるように、エディトリアルデザイナーが紙質にこだわるように、デザイナーがプログラムというメディアを十分に活かせるかどうかはプログラムへの理解力にかかっています。
「知っているからできる」 VS 「知らないからこそできる」
『デザイナーのプログラミングへの考え方として、「プログラムを知っているからこそできる」と、いう意見以外に、「プログラムを知らないからこそできることがある」と、言う意見もあるかと思います。しかし、プログラミングを知らないからこそできるというのは、これは勝手に自分で思い込んでいるだけであって、知らなくてもできたのは"運"が良かっただけである』と、阿部さん。

プログラムを知らないデザイナーとデザインを知らないプログラマーが仕事を組んで行う理由は、「一人では突破できない予想外の結果」を期待しているからです。
しかし、予想外の結果というのは良い結果だけを導くはわけではなく、当然、「良くない結果」というのも起こり得ます。
もちろん、それらはコミュニケーションによって解決できることでもあります。しかし、より確実性を求めるのであれば、他人に期待するのではなく「自分で行動出来ることから始める」ことが重要です。
自分で行動できること、つまり、プログラムを理解することが重要であり、そうして得た力こそ初めて自分のスキルと言えるものになるはずです。
デザインとプログラムの考え方の違い
ここで、デザインとプログラムの違いをお話しします。
さて、突然ですが、皆様、フランス国旗をご覧ください。

フランスの国旗

長年の間、この三色(青・白・赤)のトリコロールは30:33:37の比率でした。
(※画像は現在のフランス国旗で等分になっています。)

理由として、「旗にした際のはためきを考慮している」や、「人間の眼には白が一番見えるのを補うため」など諸説ありますが、はっきりしたことはわかりません。しかし、その理由について今回はあまり関係なく、ポイントとしては何も考えずに作るのであれば、各色の幅を等幅にすると思う。しかし、これは明らかな差異があります。
と、いうことはおそらくこの国旗を考えたデザイナーは何かしらの意図があって作っているのだと推測できます。
眼の誤差、風のはためきが理由なのであれば、「国旗以外の外的な誤差を補正した結果」と、考えるのが自然であり、対象となるインタ―フェイスに最適化されるという意図してデザインした結果です。

実はプログラミングはこの手の補正は苦手です。
プログラムが得意としているのは、「条件式として落とし込める処理」を「繰り返し実行する」ことです。しかし、今回の国旗のように「人の眼」などの不確定要素の多いインターフェイスに対する補正は条件式として落とし込むことが難しいため、特殊な専用処理として開発しなければいけません。
特殊な専用処理が増えることにより、プログラムは汎用性を失ってしまいます。

まとめると、人間の眼のような曖昧なインターフェイスを相手にしている(主にグラフィック的な)デザインは「特殊な条件処理が得意」で、コンピュータという正確性が重要となるインターフェイスを相手にしているプログラムは「繰り返し条件処理が得意」ということになります。デザイナーとプログラマーのコミュニケーションが難しいのは、このある意味では相反するインターフェイス同士を繋ぐ代弁者としてコミュニケーションしなくてはいけない点に他なりません。

そして、それらは作業レベルの得手、不得手はそれぞれの利害となって、円滑な作業を阻害してしまいます。
そのための解決方法として何があるか。
デザイナーがプログラム作業に、プログラマーがデザイン作業に、それぞれに及ぼす影響を理解した上で折り合いをつけるしかありません。
まとめ
今回の講演では「デザイナーはプログラムを理解しなくてはならない」と、言い続けてきました。
しかし、実はそれもどうでもいいことかもしれません。
というのも、デザイナーがプログラムを知るということは、一つ下のレイヤーについて知ることで新しいものを得る「温故知新」の方法です。では、どこまで掘り下げれば理解できていると言えるのでしょうか?
FlashであればActionScript?あるいはそれを動かすFlashPlayerを構成する C言語?それとも・・・というように、技術は積み重ねられることによって発展してきた以上、掘り下げたとしても終わりはありません。
積み重ねる為に土台を知ることは重要ですが、土台を知るだけでは積み重ねることもまたできません。

重要なのは、自分の実現したいことに何が必要で何をするべきかをキチンと考え、それを実行することです。

「何となく難しそうだから」
「みんなやっているし、やらないといけない気がするから」・・・ではなく、意志を持って「やる・やらない」を判断することが大事です。

ただ、一言だけ言わせてもらえるなら「一人でデザインもプログラムもできるというのは、思ったことをすぐ形にできてとても楽しいよ」ということですので、ぜひプログラミングにもチャレンジしてみてください。

Web Designer Inspire Night Vol.9 の会場の様子

〜セミナー事務局より〜

2009年4月から9回に渡って開催してきたWeb Designer Inspire Nightは開催終了となりました。
延べ500名を越すご来場者の皆様をはじめ、本コラムに興味を持っていただいた皆様が、
さらにシゲキ的なwebデザインを楽しめるように願って、本コラムを締めくくりたいと思います。
長い間ご愛読いただき、ありがとうございました。

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