Web Designer Inspire Night 開催レポート
Vol.7 「広がるWebデザインの可能性」GRANDBASE INC
栗田 洋介
今回のゲストはデザインポータルサイト「CBCNET」や
デザインカンファレンス「APMT」、アートブックの出版レーベル「PANORAMA」の企画・運営を行なう、GRANDBASE INC(以下、グランドベース)代表の栗田 洋介さんです。
講演テーマは、「広がるWebデザインの可能性〜インタラクティブデザインからアートまで〜」です。
ゲスト講師の栗田さんがWebに携わってからの約10年間で影響を受けてきた国内外のさまざまな「デザイン表現」事例や、Webデザインの歴史についてご紹介いただきました。
- Webの重要度が増してきた世代
- 栗田さんは1981年生まれで、小学校での5年間のアメリカ生活を経て、
日本での学生生活後、雑誌社に入り、そのあと制作会社を経て、2005年に今の会社グランドベースを設立されました。
栗田さんが大学生の頃はちょうどWebの重要度が増してきた時代だったそうで、
「私がWebを始めた1999年頃は、パーソナルWebサイトが流行っていました。
当時は個人でWebサイトを作り、デザインを発表するということが行われていました。
今でこそ、ブログなど個人が情報発信する機会は豊富にあるが、当時はパーソナルWebサイトを通じ、いろんな人が出会い、交流を行っていました。
使われていた技術もFlash4,5、テーブル、SPACER GIF、スライスなど単純な技術が中心でした。
Webサイト自体にも「目的」はなく、かっこいいWebサイトを作ることが良いとされていた時代でもありました」
今から10年前は「Web/グラフィック」を作るという行為がコミュニケーション手段として機能していたようです。
- デザインポータルサイトの出現
- それから一年後の2000年頃は多くの個人Webサイトが増え、「デザイン」観点からの情報整理をするサイトが、出現します。
それが所謂デザインポータルサイトです。
デザインサイトに取り上げられ紹介されることがデザイナーのひとつのステータス化して成立していた時代と栗田さんは仰います。
「個人がサイトを世界に発信して、「仕事を受注する」という仕事のスタイルが確立されたのもちょうどこのころです。
面白いことをやれば伝わっていく。また、デザイナーがメディアを作れる時代であったとも言えます。自分でサイトを作れて、デザイン、実装、発信、世界中の人に見てもらえて、紙メディアではできなかったことがwebによって可能になりました」
そのような時代の中、触発された栗田さんは2002年頃、CBCNETを作られました。
CBCNET
様々なデザイン・アート情報を集めたクリエイティブ・ポータルサイト
- デザイン表現を豊かにしてきたFlash
- Flashが世に誕生してから、10年以上経ち、昔と比べて何を可能にしてきたのでしょうか。
まずは12年前のflashサイトを見てみましょう。
Gabocorp
タイムラインなど基本的な技術で動いています。
EYE4U
こちらは1998年のWebサイトです。Webでアニメーションを使っています。いまでこそ普通に取り入れられている技術ですが、当時はWebでアニメーションを取り入れられるということに喜びがありました。
yugop.com
1999年に発表された中村勇吾さんの作品です。アニメーションからインタラクションを付け加えたサイトですが、この完成度に世界のデザイナーは衝撃を受けました。
また、2000年ぐらいからFlashに映像表現が加えられるようになりました。
ご存じの通り、昨今、Flashは、よりリッチな表現を可能にし、既存メディア/感覚へと日々近づいています。
- "メディア"の変化
- 世間一般的にメディアといえば、「テレビ・新聞・ラジオ」ですが、栗田さんはメディアについて独自の見解を持っています。
栗田さんにとって仕事でのメディアは「Web」「モノ」「場所」 です。
| 「Web」 |
: 即効性、物理的距離を遮断、実体を消失させるメディア |
| 「モノ(本や紙媒体)」 |
: 実体がある、物理的に残る、時間を超えるメディア |
| 「場所」 |
: 実体がある、時間の制限、その場限りのメディア |
この上記3つのメディアをそれぞれ「編集」、「デザイン」をしていけないかと大学生のころから考えていましたが、ただ、昨今この3つの枠組みも栗田さんの中では変化してきたと仰います。
「例えば、Web2.0。様々なコミュニケーションツールが登場しました。
代表されるものはソーシャルネットワーキング(mixi、FaceBook、Twitter、Youtubeなど)です。
皆さんご存じのYoutubeですが、アメリカでは個人で撮影した動画を公開するということがほとんどの利用方法です。
ある大学では生徒と一緒にYoutube人類学という授業を行い、生徒と一緒にYoutubeビデオを作成し、研究を行ったりしています。(ちなみにこの教授は2008年度ベストオブ教授に選ばれました)
An anthropological introduction to YouTube
授業の中で生徒が研究成果を発表している動画です。
他にも個人で弾き語りの動画を公開していたところ、それが多くの方の目にとまりCDデビューした方もいらっしゃいます。
今ではiphoneなどでもYoutubeを見ることができます。場所や時間も選ばなくなりました。
このように"メディア"の構造も変化してきています。
発信する側、受ける側のコミュニケーションは多様化し、今後さらに連動しながら進化することでしょう。
ここ最近はデザインする上で必要なメディアについては、web、モノ、場所からコンテンツ、ツール、デバイスだと考えるようになりました」
- 出会い方が大事
- 『ちょっと違う話になるのですが、友人がこういったことを言っていました。
「音楽やアートなどは出会い方が大事。出会い方によって宝になったり、ゴミになったりする。」
どういうことかと言うと、Webの普及によって圧倒的に手に入る情報量が増えた今、その出会い方、吸収の仕方が大事になっているかなと感じます。それは"デザイン"をする際にも言えることで、参考にするものが多すぎて、逆につまらないモノになってしまうこともあります。やはり時間や労力をかけて手に入れた情報や技術を持っている人は良い形でデザインにフィードバックできると思います』
その他にも、アート、ネットアートの話や、関わった海外カンファレンスの話などデザインという膨大な表現の方法の中から抽出いただき、様々なお話をしていただきました。
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