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渡辺千賀のはたらけシリコンバレーシリコンバレーの子育ての値段

2008.08.04
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今回はインタビューは一休みし、趣向を変えて「シリコンバレーの子育ての値段」について。

グーグル幼稚園は月20万円?!

最近グーグルが、社員向けデイケア(保育園・幼稚園)の値段を月2,390ドル(約25万円)に値上げすることが話題になった。「社員負担分」の値段、である。
- 1歳未満の赤ちゃんで、これまで月1,425ドルだったのものが2,390ドルに
- 1-2歳児で月2,290ドル
- 3-5歳児で月1,710ドル
となるそうだ。

「子供が二人いたら年間のデイケア自己負担分は57.000ドル(約600万円)」
と遠くニューヨークタイムズ紙の記事にまでなった。もちろん税引き後です。
しかし、多分日本人的にもっとビックリするのは、
「グーグルの社員ではないごく普通の人たちは、デイケアにいくら払っているか」
ということでは。

地元の新聞によれば、グーグルがあるマウンテンビュー市が属するサンタクララ郡の平均で、一歳児未満だと月1,200ドル、3-5歳児では900ドル、とある。フルタイム・共働きの人を対象にしているので、朝8時半から夜5時半くらいまでの長時間のケアではあるが、それにしても、幼稚園で月10万円。これはあくまで平均なので、実際にはもうちょっと高いところの方が普通な感じだ。

子沢山なアメリカ

さて、アメリカ人は子沢山。国全体でも出生率は2.1もあって、先進国では稀に見る高さ。(日本は1.2)。

「貧しい移民が子沢山だから」というような単純な理由だけではない。たとえば、移民の出生率だけをみても、おのおのの出身国の出生率より高くなるという傾向すらある。2002年の数値だが、Center for Immigration Studiesの調べでは、移民の出身国トップ10の平均でこんな感じ。
- 母国の平均出生率=2.3
- アメリカに住む移民の平均出生率=2.9
個別の国で見ると、メキシコでは2.4の出生率が、アメリカに住むメキシコ出身の移民だと3.5になる。カナダをみても、母国では1.5なのに、アメリカにくると1.9。この結果は、教育レベルの差を考慮に入れるとさらに拡大するそうだ。世界的にみて教育水準が高いグループほど出生率が低くなる傾向がある。そしてアメリカの永住権を手に入れる移民には高学歴の人が多い。同じ教育レベルの人同士で比べると、アメリカへ移民した人たちと母国の人たちの出生率の差は上記の数字以上に大きくなるとのこと。

つまり、「アメリカに住むと子沢山化」という現象があるわけだ。

親に厳しい制度

しかし、子沢山の理由は、子供を持つ親に優しい制度が整っているからではない。有給の産休も義務にあらず。最近行われた173カ国の調査でも、有給の産休を国が義務付けていない国5つしかなかったとのこと。アメリカ以外の4カ国は、レソト、スワジランド、パプアニューギニアとのことで、先進国ではアメリカのみ。(もちろん、アメリカでも個々の会社が社員の福利厚生として産休制度を設けるのは自由ではあるのだが。)

そしてさらに親に厳しいのが保育園・幼稚園=デイケアのコスト。アメリカでは義務教育は幼稚園の最後の1年から始まるので、ここからは希望すれば誰でも公立の学校に行けるが、そこまでの何年かにものすごいコストがかかる。

冒頭に書いたように、地域平均で月10万円レベル。複数の子供がいれば、もちろん人数分掛け算しなければならない。
こんなに高くても、デイケアの多くが順番待ち状態。

「妊娠しているとわかった瞬間にデイケアに申し込み」

という知人も複数いる。通いのお手伝いさんとして子供のケアをするナニーも、これまた1時間当たり15ドルくらいするので、1週間で6-7万円になる。

一方、子供の虐待に厳しいアメリカでは、ほんの数分車に子供を置いて店に行くだけでも警察沙汰。一瞬たりとも放置できない。親たるものは大変なのである。

ではなぜ子沢山?

というわけで、子を持つ親に厳しいアメリカではあるのだが、それでも子沢山。シリコンバレーのハイテク企業で働く人でも子供が3人いる人は沢山いる。(子供が4人になると、家族全員で普通のセダンに乗れなくなる、という微妙な理由があるため、4人の子持ちというのは少ないのだが。)

家が大きい、どこでも車で移動なので小さな子供をつれまわすのが楽、といった物理要因もあるだろう。敬虔なクリスチャンが多い、というのも無視できない。また、夫婦双方が子育てに参加するということもある。「子供を迎えに行くから」と男性でも仕事を切り上げて帰ってしまう。

しかし、その根底には「未来に希望がある」ということもあるんじゃないか、という気もする。

子供が多いから未来に希望が生まれるのかもしれませんが。

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渡辺千賀プロフィール

渡辺千賀

シリコンバレーのコンサルティング会社、Blueshift Global Partners ( http://www.blueshiftglobal.com/ ) 社長。 技術関連事業での日米企業間アライアンスと、先端技術に関する戦略立案を行う。 商社と戦略コンサルティング会社での経験を生かし、口も足も動くコンサルティングを実践している。 また、シリコンバレーで働く日本人プロフェッショナルをサポートするNPO、Japanese Technology Professionals Associationの共同代表も務める。 東京大学工学部都市工学・学士、スタンフォード大学MBA。 三菱商事、マッキンゼー、ネオテニーを経て現在の会社を起業。

Blog : On Off and Beyond ( http://www.chikawatanabe.com/

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